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  1. 富山県議会 2012-02-01
    平成24年2月予算特別委員会


    取得元: 富山県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-05-14
    ↓ 最初のヒットへ(全 0 ヒット) 1                     午前10時00分開議 大野委員長 ただいまから本日の予算特別委員会を開会いたします。  それでは、発言の通告がありますので、これより順次発言を許します。        神田真邦委員の質疑及び答弁 2 大野委員長 神田委員。あなたの持ち時間は60分であります。 3 神田委員 おはようございます。1時間どうぞよろしくお願いいたします。  まず、防災対策についてお伺いしたいと思います。  現在、県地域防災計画の見直しにおける中間報告のパブリックコメントが行われておりますけれども、きょうは、今回の見直しにおいて触れられていなかった点を中心に、特に発災前の備えと発災後の対応についての提案を含め、質問をさせていただきたいと思います。  まず、災害発災後に設置される避難所についてお伺いいたします。  現在、各市町村が指定する避難所にあっては、公的施設のほか、民間施設も含まれております。また、今回の見直しについては、東日本大震災を受けて津波災害への備えにも取り組んでいただいているわけです。しかし、この津波災害を考慮した際、現在指定されている避難所については、妥当ではない施設も含まれていると考えます。  そこで津波災害の際、指定されている現在の避難所が、果たして避難所として妥当であるのかを再検討する必要があると考えますが、その妥当性と見直しについて所見をお伺いいたします。 4 吉田知事政策局長 現在、県内沿岸の9つの市町村では、公園などの避難場所として578カ所、それから学校校舎などの建物の避難所といたしまして886施設が指定されているところであります。各市町村におきましては、平成7年に県で実施いたしました能登半島沖や糸魚川沖の地震による津波調査結果も踏まえて、避難所等を選定しているところであります。  しかしながら、今回の東日本大震災の教訓を踏まえ、あらゆる可能性を考慮して防災対策を講ずる必要があることから、国の調査で海域部の断層が認められました呉羽山断層帯の地震による津波や、発生確率は極めて低いものの、糸魚川沖の3つの断層が連動するような地震による津波も想定いたしまして、県において津波シミュレーション調査を行うこととしております。これらの津波に対する避難所の妥当性につきましては、調査結果を踏まえて改めて検証する必要があると考えております。  この津波シミュレーション調査ですけれども、今月中に結果を取りまとめて県から市町村に調査結果を提供することといたしております。沿岸市町村におきましては、この調査結果を活用していただいて、津波ハザードマップを作成されることになりますけれども、その際にあわせて避難所等の妥当性につきましても改めて検証していただきたいと考えており、県としても必要な事業を実施してまいりたいと思います。 5 神田委員 あれだけの衝撃的な映像を国民は見たわけです。ぜひとも今回の見直しに当たっては、そういったところもしっかりと検討いただいて、それぞれの沿岸市町が取り組んでいただけるような形で働きかけをお願いしたいと思います。  この避難所について確認させていただきたいのですが、現在、県地域防災計画においては、避難所管理要員避難所運営委員会避難所管理責任者、施設管理者と、幾つもの役職が出てまいります。避難所の運営に当たっての責任は、実質的にどなたが負うのでしょうか。 6 吉田知事政策局長 ただいま委員が御指摘されましたように、県地域防災計画上、避難所管理要員などのいろいろな役職が出てまいります。  まず、避難所管理責任者につきましては、市町村が派遣する職員で、避難所の現場責任者としての役割でございます。
     そのほかに避難所管理要員がおりまして、これは同じく市町村が派遣する職員でございますけれども、最初に申し上げました避難所管理責任者の指揮下で、避難所の情報把握や市町村災害対策本部への連絡などを行う方でございます。  また、これとは違った形のものとしまして施設管理者が位置づけられております。これは避難所のそもそもの施設──例えば学校や公民館でありますが、その長などの施設を管理する方のことでございます。  あるいは、避難所運営委員会も位置づけられております。これは避難者みずからによる自主的な避難所運営のための組織でありまして、市町村の職員や施設の管理者のほか、避難者の代表を委員といたしまして、避難所生活におけるルール作成、生活物資や、食料の管理など、実際に避難所を運営していくに当たって必要なことを実施するために設置されるものです。  こうしたそれぞれの役割を担う方々がともに連携して、被災者の安全と安心の場を提供することを目的に、避難所の運営を行っていただくものと考えておりますが、御質問の避難所の実質的な責任者となりますと、最初に申し上げました避難所における現場責任者であります避難所管理責任者であると考えております。 7 神田委員 確認しますが、これは市町村が派遣するということですが、現段階において、例えばどこそこの学校、公民館で、市町村は常にそういった方を任命していらっしゃるのですか。それとも、発災後に任命するのですか。 8 吉田知事政策局長 それぞれの市町村によって異なりまして、例えばあらかじめ係長級以上の人を避難所管理責任者と任命しているところもあれば、特に事前には任命していない市町村もございます。 9 神田委員 この避難所管理責任者、いわゆる実質的な避難所の管理の責任者は、各市町村にあっては、発災前から任命しておかなければいけないと思います。  どうしてそういう感覚を持つかということですが、現在、一番多く避難所に指定されているのが学校であります。その学校について考えたときに、今回の東日本大震災の事例では、県地域防災計画で想定する避難所管理責任者の派遣については、発災から数日間経過した後でなければ派遣できないケースも考えられますし、事実そうであったわけです。  では、派遣されるまでの間、避難所管理責任者はだれになるのかといえば、当然、施設管理者になってくるわけです。特に学校にあっては、県地域防災計画の中にも「あらかじめ指定されている学校においては、避難所管理責任者の調整のもと、校長の指導により運営業務に協力する」と記載されております。事実上、学校長が避難所運営に大きく携わらなければならないのは明らかです。  ただ、学校長が避難所の運営に携わるということは、本来の学校長の業務ではないことも明らかです。この矛盾点は、実は阪神・淡路大震災の際から指摘されていたわけですが、その後、国、県、市町村、それぞれの中で改善されることはありませんでした。そして1年前、東日本大震災が発生した際に、その教訓が生かされず、避難所となった学校においては、実に学校長が四十数日間、その学校に寝泊まりをし続けなければいけなかったという事例があったわけです。  ただ、避難所は多くの避難された方がいらっしゃるわけです。この問題については、定義づけが大変難しいと思っております。そこで、学校に避難所が設置されたときの学校管理者としての学校長の役割、業務について、どのような見解をお持ちになっておられるのか、教育長にお伺いをいたします。 10 寺林教育長 委員が御指摘のとおり、避難所設置の際の学校長の役割につきましては、県地域防災計画におきまして、震災などの災害発生時には避難所管理責任者の指導のもと、校長を初めとする教職員が運営業務に協力するとされているところであります。  特に災害発生直後におきましては、早急な学校施設の開放と避難住民の受け入れ、また施設の危険箇所の確認など、施設管理者として学校長など教職員が果たす役割は大変大きいと思っております。また、日ごろから大勢の児童生徒を相手にしておりますので、職務上で身についた教師としての使命感、指導力、判断力が、秩序ある避難所運営に役立つとの意見もございます。  しかし、東日本大震災等の大規模な災害の際には、教職員が避難住民のために昼夜を問わず勤務を続けていた例が各地で見られたと聞いておりまして、避難が長期間に及ぶ場合は、学校本来の機能であります教育活動の早期再開等に支障を来すことが危惧されております。  文部科学省の有識者会議におきましても取りまとめられておりますが、県教育委員会としましては、学校が本来の役割である教育施設としての機能を果たしつつ、地域住民の避難所としての役割を担うために、防災関係部局や市町村、地元自治会との役割分担をあらかじめ明確にし、学校が避難所として適切に運営できるよう努力してまいりたいと思っております。 11 神田委員 先日、首都大学東京の副学長をしておられます上野先生の講演を聞いてまいりました。  災害時、被災地の約8割の方が学校を目指すという統計があります。実際、グラウンドも含めて多くの学校施設が避難場所に指定されておりますので、そのようなところに避難することが予測されるわけです。  ただ、学校施設が避難所として運営されなければならないといった部分もありますけれども、この学校における避難所設置期間が長引いたとき、今ほど教育長がおっしゃいましたが、当然、学校機能との併用が順次求められてくるわけです。そうしますと、避難者の居住区域と学校区域の線引き、また、授業における施設利用や他の授業にも大きな弊害が出てくるわけであります。  実際、阪神・淡路大震災、そして今回の東日本大震災、両震災のときに共通して起きた問題が、まずトイレです。既存のトイレだけでは足りません。生徒や避難者の方が用を足すには絶対数が足りないことから、学校敷地内、特にグラウンドに順次溝を掘って、コンパネやベニヤで隠すような形で簡易トイレを設置したということです。そこが使用不可能になったら土で埋めて、また新しい所に溝を掘ってトイレにした。最終的に学校施設の復旧となったときに、この簡易トイレの痕跡と言ったら失礼ですが、復旧の大きな妨げになったという現実があります。  その他、学校を避難所として利用することによって、学校施設としての機能に大きな影響を及ぼすことは多々考えられるわけです。学校を避難所として使用することによって出てくる弊害を、あらかじめ少しでも除外しておくという観点から、避難所運営や、また学校機能及び施設機能の早期復旧に向けて、平時から、避難所管理責任者者と学校管理者が連携をとっておくことが必要不可欠ではないかと考えるわけでありますけれども、知事政策局長の所見をお伺いいたします。 12 吉田知事政策局長 ただいま御紹介いただきましたように、東日本大震災におきましては、数多くの学校が長期にわたり避難所とされたことから、学校の避難所機能を整備するとともに、その運営についても事前に準備しておく必要がございます。一方で、今ほど教育長が答弁いたしましたとおり、学校本来の機能である教育活動を早期に再開するための調整を、あらかじめ関係者で進めておく必要もあります。  そのためには、避難所管理責任者たる市町村と施設管理者たる学校、そして地元地域との平時からの連携が大変重要であり、東日本大震災においても、関係者が事前に打ち合わせを重ね、あらかじめ避難場所の運営ルールを策定していたことにより、避難所運営や情報伝達などがスムーズに行われた事例があると報じられているところであります。  このため県では、市町村や教育委員会と連携いたしまして、来年度、新たに地域の自主防災組織が学校や市町村等と連携して行う防災キャンプなど、他の地域のモデルとなるような連携の取り組みに対して助成をすることとしております。  県といたしましては、このような取り組みを行って連携を進めるとともに、今、大変貴重な御提言もいただきましたので、市町村防災関係課長会議などにおきまして、市町村と学校の協議の場を設けるよう助言するなど、市町村の防災関係部局と教育委員会の連携を促すことによって、市町村、学校、地元地域の役割分担をあらかじめ明確にし、学校が本来の役割である教育施設としての機能を果たしつつ、地域住民の避難所としての役割も担えるよう努めてまいりたいと考えております。 13 神田委員 ぜひとも、今後の取り組みの中で、いざ発災して避難所が設置されたときに、行政間の連携がとれていないということが起きないように取り組んでいただきたいわけです。  この上野先生は、陸前高田市の市立第一中学校に避難所が設置されて、最終的に避難所が解消されるまで、ずっと見ておられました。いかにして学校機能と避難所を併用し運営するか、そして避難所を解消し本来の学校に戻していくか、ということについて大変詳しく講演されました。私は、当日いただいた資料を持っております。  そこで、これはあくまでも提言でありますが、行政の講習でも何でもいいですが、ぜひとも上野先生の講演を一度お聞きいただいて、国のフィルターを通しての取り組みではなくて、実際に現場を見てこられた先生の率直な感想や提言を、ぜひとも避難所運営、また災害対策に生かしていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。  次に、災害への備えについて質問をいたします。  現在、県内の各市町村では、県も含めてですが、災害備蓄物をストックされておられます。ある一定の計画に基づいてストックされているのですが、ただ、市町村によってはその内容や数量に、かなりのばらつきがあります。  また、県民の皆様の防災グッズ等の備えを考えたとき、私は、県の数値とかけ離れて少ないと思うのです。そういう状況に加えて非常食を考えると、もっと県民の危機意識は希薄であるというのが現状であります。それは、地震のない安全な県という、ありがたい地域に暮らしているからこそ思うのです。そういうことから、いわゆる県民の皆様の防災グッズの備え、加えて現状の計画に照らし合わせたときの県、市町村のいわゆる災害備蓄物の備えは、決して万全ではないと考えます。  県が想定する災害規模と各市町村が想定している災害規模は、実際、ここにも差があるのではないか。その差から、いわゆる県が考える備蓄量と、市町村が備えている備蓄量との差にも出てきていると推察するわけです。今後、県にあっては、各市町村が想定する災害規模を県と同一規模のものとするように働きかける必要があり、それには今後、県の指導力が問われるわけです。  そこで、災害の備えとして県の指導力のもと、早期に災害備蓄物を充足する必要があると考えますが、知事政策局長の所見を伺います。 14 吉田知事政策局長 県の地域防災計画におきましては、市町村は被災者の生活を確保するため、県と連携しながら物資の確保や設備の整備に努めることとされております。具体的には、被災者に最低限の飲料水や食料、生活必需品等の供給が円滑に行えるよう備蓄等により確保するとともに、避難生活に最低限必要な仮設トイレや医薬品などの物資、資機材を確保することとされております。  現在の市町村の備蓄状況でございますが、県内全体で、食料が約14万5,000食、毛布が約2万7,000枚のほか、医薬品、トイレ、テント等の物資、資機材が備蓄されておりますけれども、御指摘のとおり、市町村ごとに備蓄の基準や内容、数量にばらつきがある状態でございます。  県といたしましては、県自身は、呉羽山断層帯の被害想定も踏まえまして、必要量のうちの約3割を現物で持つという考え方に基づき、県の現物備蓄や流通備蓄、市町村の備蓄、その他ということで、それぞれ3対2対4対1の割合を想定いたしまして備蓄を行っているところでございます。  今回の東日本大震災の教訓も踏まえ、市町村には、改めまして備蓄が現在の水準で十分かどうか検討を行っていただきたいと考えており、市町村地域防災計画の策定の際などに必要な助言を行ってまいりたいと考えております。  また、県民の皆さん自身の自助としての備蓄の現状でございますが、今年度実施した県政世論調査では、避難用具などを備蓄している人は35%、非常食等を準備している人はさらに低い16%となっており、家庭における備蓄は十分とは言えない状況にあります。  今後、県としましては、県広域消防防災センターでの教育研修や、児童生徒に対する防災ハンドブックの配布などを行いまして、今後、各家庭において3日分の水と非常食を備蓄することなど、市町村とともに普及啓発に取り組んでまいりたいと考えております。 15 神田委員 局長、細かい数字を確認しますが、現行の県地域防災計画が想定している備蓄物では、多分、県はもう充足していると思うのですが、市町村は何%ぐらい足りないのかわかりますか。 16 吉田知事政策局長 先ほど申しましたように、市町村はそれぞれの考え方に基づいて行っております。例えば被害想定もどういう被害が生じるかといったこと、それぞれの地域によって最大の被害を想定していますし、現物で持つだけでなく、現物で持たずに流通の備蓄や個人の備蓄を想定して備蓄されている市町村もございます。  したがいまして、一概に言うことは適当ではないかもしれませんが、ざっと単純に申しますと、例えば食料の場合ですが、24万食ぐらいの計画を見込んでおり、実際に市町村が備蓄しているのは13万食弱で、5割ほどの充足率でございます。  もちろんそれぞれの市町村は、今申し上げましたように、このほかに流通備蓄や個人の備蓄も想定しておりますので、一概にこの差の分がすべて足りないということでもないわけで、単純に申し上げればそういう状況でございます。 17 神田委員 いずれにしても、この備蓄物が多くあってもだれも困らないわけであります。ただ、不足していたら、いざ発災したときに大変な苦労をしなければならないということですので、ぜひとも今後、県が積極的に備蓄物に関して取り組んでいただくことをお願いしたいと思います。  備蓄についてもう1つ、飲料水についてお聞きします。県地域防災計画では、飲料水の確保策として、配水池等に貯水した浄水を有効に利用するとされておりますが、想定外のことも考えて、ペットボトル等による備蓄水の確保にも急ぎ取り組む必要があると考えますが、厚生部長、いかがでしょうか。 18 飯田厚生部長 委員からの御発言にもございましたとおり、県地域防災計画では、震災時の飲料水の確保につきましては市町村が行うこととされておりまして、配水池等に貯水した浄水でございますとか、必要に応じ水道施設以外の例えば井戸水などの予備水源を活用し、拠点給水や運搬給水を行うこととされているところでございます。  必要な供給量については、災害直後の3日間分につきましては1人1日当たり3リットルで、これを県全体で掛け算してみますと984万リットルで、約1,000万リットルになります。これだけの水量が必要であるのに対し、本県の耐震性のある配水池の容量は1億695万リットルであり、この点からは十分な供給能力を有していると見ております。  しかしながら、今回の東日本大震災におきましては、配水池、送水管などの水道施設が甚大な被害を受け、19の都道県で約230万戸が断水し、また、道路の寸断等により給水車による給水ができなかった地域もかなり発生したと聞いております。委員から御指摘もございましたように、想定外を想定することの必要性を実感したところでございます。  こうしたことから、ペットボトルによる飲料水については、県において民間企業17社と協定を結びまして、流通備蓄として約22万リットルを確保しているところでございますが、今回の震災の教訓も踏まえて、その数量をさらに増加させるため、生産者や流通事業者の協力を求めてまいりたいと考えております。  また、現物そのものでの備蓄でございますが、現時点では県で1,500リットル、市町村で約8万リットルを確保している状況でございます。この数量をふやすことにつきましては、備蓄場所の確保、経費の関係、それから賞味期限などの課題もございますことから、その取り扱いにつきましては、早急に整理し検討してまいりたいと思っております。 19 神田委員 水は人間が生きていく上で必要不可欠なものであります。いざ発災して、水がない、ということになってはいけません。特に富山県は水の豊富な県ですので、意外と県民にとっては盲点ではないかと思います。  発災する時間によっては会社の中にとどまらなければいけないということも考えられるわけですが、各企業にそういう備えがされているかどうかです。いろいろな想定をしておかなければいけないと思います。特にこの備蓄関係については厚生部が所管しておられるということですので、いろいろな状況を考えていただきたいと思います。  東日本大震災の折、ライフラインの復旧において、生活燃料の供給再開には相当な日数がかかったと聞いております。ただ、その中で唯一、LPガスだけは数日後に供給が再開されたという事実があります。その要因として、ボンベによるLPガスの軒下在庫ができるという利点、そして被災地への運送が比較的容易な分散型エネルギーであったことが挙げられるわけです。  その他にも多くの優位性をLPガスは持っているわけですが、特に北陸3県のLPガス協会が3県災害時相互支援協定を結んでおられることも含めて、今後、富山県においては、この優位性をしっかりと災害対策として確保しておくことが、いざ発災したときの早期災害復旧につながると考えるわけであります。  そこで、震災時における生活燃料の安定供給の充実を図る上で、LPガスの初期対応時の優位性を視野に入れた体制を構築すべきと考えますが、知事政策局長の所見を伺います。 20 吉田知事政策局長 本年2月に公表されましたLPガスに関する経済産業省の報告書によりますと、東日本大震災の初動時において、避難所等でのLPガスによる熱源確保、炊き出し等が実施できたことなどにより、改めて災害時のLPガスの有用性が明らかになったことから、避難所等へのLPガス供給インフラを確保することが必要であるとされているところであります。  委員が御指摘のとおり、LPガスの初期対応時の優位性を踏まえた生活燃料の供給体制を構築することが重要であると考えておりまして、本県におきましては、既にすべての市町村と富山県エルピーガス協会との間で、災害時の緊急用燃料の供給に関する協定が締結され、災害が発生した場合には、公共施設の応急復旧や避難所等に優先的にLPガスが供給されることとなっております。  また、現在見直し中の県地域防災計画の中間報告案におきましても、新たに県や県エルピーガス協会は、「市町村の要請を受け、分散型エネルギーの利点を生かし、LPガスの優先的、安定的な供給に努める」ことを盛り込んでいるところでございます。  このようなLPガスの災害時における役割の重要性にかんがみまして、県エルピーガス協会には、今回、新たに県防災会議の委員に御就任いただいたところであります。  県といたしましては、県エルピーガス協会と連携しながら、災害時の燃料の安定供給の充実に努めてまいりたいと考えております。 21 神田委員 ありがとうございます。  それでは、この防災について、最後に知事にお伺いしたいと思います。  今回の県地域防災計画の見直しに当たっては、これまで述べてきたことも含め、東日本大震災を踏まえた津波対策はもとよりですが、本県の有史にもあります地震による山岳崩壊など、新たに盛り込むべき事柄は多いと考えておりますので、過去の震災から学ぶべきことをしっかり取り入れ、かつ、これまでの議会等での指摘や提案も踏まえた防災計画の見直しにしなければならないと考えております。  そこで、今回の県地域防災計画の見直しについては、防災意識の向上など県民レベルからの改善にも取り組みつつ、知事みずからの考えをどのように取り入れ、実効性の高いものにしていかれるのか、所見をお伺いいたします。 22 石井知事 今、委員からいろいろ貴重な御提言いただきましたが、私自身も、今回の東日本大震災や過去の飛越大地震などの教訓に学びながら、地域防災計画をできるだけ実効性の高いものにしていかなければならないと思っております。  そのためには、1つには、あらゆる可能性を考えて想定外ということがないようにしなければならないこと、2つ目には、自分の身は自分で守る自助、地域でお互いに助け合う共助、といった地域防災力を強化しなければいけないこと、3つ目には、もちろん住民の皆さんへの情報伝達体制や避難体制などの整備といった行政による公助をもっと拡充していくこと、この3点が不可欠と思っております。  そこで、県地域防災計画の中間報告案には、今も貴重なお話をいただきましたが、かねてより県議会からいただいている御提言や、また県の防災会議での御意見も踏まえまして、あらゆる可能性を考えた対応ということで、国の場合は、100年に一度の地震以外にも、特に700年から1000年に1回程度の頻度の低い太平洋側の海溝型地震を想定するということですが、富山県の場合は、1000年に1回程度でも、そういう想定外の地震はなかなか出てこないものですから、極めて発生頻度は低いのですが、3000年から5000年に1回程度起こる津波の想定も考えております。  また万一、県庁が被災したときのために、県広域消防防災センターで災害対策本部の機能を確保して、そこで指揮をとることとしております。  2つ目には地域防災力の強化でありますが、県広域消防防災センターを活用した防災教育の充実や自主防災組織の活性化に向けた支援、また要援護者の支援に向けた体制整備などを記載しております。  地域防災力の強化のための自助、共助の考え方につきましては、特にお子さんのころから身につけておくことが必要だと考えまして、県広域消防防災センターにおきましては、富山県の四季ごとの特徴的な災害に対する防災体験ができる学習施設を活用しまして、例えば、全国で初めての流水体験と風雨災害体験との同時学習や、また、子供たちや家族の皆さんが消防職団員の訓練を見学できる参加型学習──例えばグラウンドで操法訓練を行うときに、芝生の広場で観覧できるような配慮もしておりますが──全国的に見てもトップクラスの富山県ならではの教育研修ができるようにしてございます。  3つ目には公助の拡充ですが、エリアメールやサイレンなど、災害情報を確実に住民の皆さんにお伝えする多様な伝達手段の活用、それから避難場所や避難経路を明示した津波ハザードマップの早期作成、また、震災時に備えた食料とか生活必需品や、委員からお話のあった仮設トイレ、飲料水の広域消防防災センターにおける備蓄、そういったことも盛り込んでおります。  これからも、きょうの委員の御提言も含めまして、しっかりと防災会議で議論しまして、さらに実効性の高い地域防災計画になりますように、市町村や県民の皆さんとも連携して取り組んでいきたいと思っております。 23 神田委員 次に、総合こども園(仮称)制度についてお伺いいたします。  今回、政府・民主党は、幼稚園と保育園の垣根を取り払い、幼保一体化の事業として待機児童解消と母親の就労支援を主眼とした総合こども園(仮称)制度を導入しようとしているわけであります。  この制度の特に待機児童の解消なるものは、富山県には全然そぐわない政策なわけです。そして、幼児教育、保育という概念を全く無視した政策、取り組みと考えます。教育をないがしろにする国家は滅びます。人間形成において一番重要な時期が幼児期であり、何より親の愛情を一番注がなければいけないのが幼児期です。その時期にあって母親の就労支援を優先する施策、そして景気対策とする施策は、私は愚策中の愚策だと思っております。  この愚策中の愚策を、今後、国の制度として取り入れないためにも、ぜひとも知事には全国知事会を通じて、本当の意味での子供のことを考えた子供施策を行うよう、国に対して働きかけていただきたいと思うわけですが、政府が進めようとする総合こども園(仮称)制度に対する御所見をお伺いします。 24 石井知事 御承知のとおり国では、総合こども園(仮称)制度を創設することを内容とします検討が行われてきまして、3月2日の少子化社会対策会議で、その法案の骨子が決定され、子ども・子育て支援法案(仮称)と総合こども園法案(仮称)が、今国会に提出されることになっております。  今、委員からも御提言がございましたが、これまで私は、幼保の一体化については、全国一律に性急に導入するのではなくて、そもそも富山県の場合は待機児童がいないわけですから、そういう地域の実情に対応できる柔軟な制度設計にするようにしてほしいということと、また、一体化することで結果として質の低下につながらないように、教育、保育の質の維持向上をしっかり確保できるようにしてほしいと、富山県としても、全国知事会としても要望してきました。  このたび示された法案の骨子を見ますと、幼稚園、保育所から総合こども園(仮称)への移行については、平成30年ごろまでの一定期間内での緩やかな移行としており、保育所は、一定期間経過後、すべて総合こども園(仮称)に移行するのですが、幼稚園は、今のままの形で残ることも可能であるとしております。また、総合こども園(仮称)の質の水準ですけれども、現行の保育所と幼稚園の双方に求められるものを基本としております。  さらに、総合こども園(仮称)だけではなくて、より小規模な地域型保育の創設なども盛り込まれております。  それから国と地方の費用負担も、現行の負担割合を踏まえて、随分議論がありました子供のための手当は、国と地方で最終的に2対1に、それから、こども園給付、地域型保育給付は、国と地方で1対1と示されました。最初のころは、こう言っては何ですが、本当に大変なことになると思っていたのですが、かなり地方の意見も反映したものになったと一定の評価はしております。  ただ、おっしゃるように、総合こども園(仮称)は、例えば、これまで有料の幼稚園で行っていたような教育水準が保たれるのか、また、必要な地方の財源の確保策があるのかなど、実はまだ不明確な点も残されておりますので、知事会の代表の高知県知事とは連絡をとり合っているのですが、今後ともしっかりと地方の側の意見を申し上げて、おかしなことになるようなら、また少し働きかけをしなければいけないと思っております。  いずれにしても、委員が心配されていますように、総合こども園(仮称)を構築するときは、やはり一番大事なことは、子供の立場に立って質の高い教育や保育が、それぞれの家庭や地域の状況に応じて適切に選択できるような仕組みにしなければならないということだと思います。そうなるように、また地方の現場の意見がしっかり反映されるように、富山県としても、また全国知事会としても、これからも国に働きかけをしてまいりたいと思っております。 25 神田委員 どうぞよろしくお願いいたします。  次に、本県教育等についてお伺いします。時間がなくなってきましたので、質問を幾つか省きますが、まず、富山スタンダード等について伺います。  県教育委員会は、昨年度にモデル校で試行し、今年度から県内の小学校全校で外国語活動を実施されました。その外国語活動に当たっては、この自己評価をした上で平成24年度以降の取り組みに当たらなければならないと考えております。  そして、何よりこの外国語活動を富山スタンダードの柱として取り組むべきと考えますし、グローバルな人材づくりに不可欠な英語力の向上に向けて、小学校における外国語活動の充実と中高カリキュラムとの連携を図るべきと考えますが、教育長の所見を伺います。 26 寺林教育長 小学校における外国語活動の充実のために、平成20年度より県教育委員会は、各校での指導の中心となります教員を対象とする研修会を開催し、その受講者による30時間の校内研修を実施しております。また、主たる教材であります英語ノートの活用の仕方を具体的に示した事例集を作成し配布しております。さらに、英語担当指導主事を校内研修等に派遣して指導するなど、研修会や教材の提供を行ってきたところであります。  本年度の指導主事の学校訪問等の報告によりますと、当初と違い、児童はALTや友達と物おじせずに英語でコミュニケーションをとることができるようになってきているとのことであります。  また、英語教育の校種間連携についてでございますが、小中の教員はお互いの授業を参観し、指導案を持ち寄って検討しているところでありますし、中高間の連携につきましては、来年度から5年間で、中高の全英語教員が参加します英語教員研修会を開催することとしておりまして、小中高の円滑な接続のあり方や先進的な指導法について、ともに演習を行い、中央講師から指導を受けるなど、小中高と連携して発達段階に応じた指導ができるように取り組んでまいりたいと思っているところであります。 27 神田委員 次に、大学の秋入学について伺います。  さきに東京大学が導入の検討を発表して以来、全国の主な大学が秋入学への検討を始めました。経済界も秋入学については歓迎をしており、4年後になりますか、導入の現実味が出てきたわけです。  そういう中にあって、県教育委員会としても、大学秋入学への対応を早急に検討すべきではないかと考えますが、大学秋入学に対する県教育委員会としての見解と今後の対応をお伺いします。 28 寺林教育長 東京大学の入学時期の在り方に関する懇談会の中間報告では、秋入学を導入しまして、海外留学生を受け入れ国際化の促進を図るとともに、大学教育改革として、合格から入学までの約半年間に、社会貢献や海外での学習、勤労体験や研究の現場に接するなどの体験活動を支援すること、また、優秀な学生には早期卒業制度を導入することなどを提案され、話題となっているところでございます。  今回の秋入学につきましては、半年間のいわゆるギャップタームを充実させる必要があること、入学時期が半年おくれるため修業年限がふえること、企業には大卒者の採用時期等への柔軟な対応が必要なことなど、多くの課題があると思っておりまして、社会のさまざまな声を聞き、幅広い見地から検討されることを期待しております。  現在のところ、入試日程をおくらせた場合に、受験競争の長期化や他大学へ入学した学生が東大を受験し直す仮面浪人などを生む負の影響が大きいといった声もありますので、春のままで維持するとされております。  県教育委員会としましては、各大学における秋入学に関する方向性が定まっていない状況もございますので、今後の議論の動向を見定めながら情報収集に努めるとともに、学校教育への影響や課題等についてしっかり整理してまいりたいと思っております。 29 神田委員 いずれにしましても、これは東京大学が秋入学を導入することを決定したら、多くの大学がそこに雪崩を打つと思うのです。ですから、アンテナを常に張っていただいて、即、手が打てるように準備をしていただきたいと思います。  おかげさまで海洋高校の跡地が、県のサッカー協会が主体となった総合型スポーツクラブが運営するフットボールセンターに決定して、平成24年度の予算においても措置していただきました。改めて御礼を申し上げます。小中学校の競技力向上を主眼とした、全国でも本当に特色あるクラブでありますから、今後とも引き続き支援をお願いしたい。これは要望にしておきます。  ここで1つ提案ですが、せっかくフットボールセンターができますので、どんどん利用していただきたいということで、今、日本は女子サッカーが大変強く、そして、県内の子供たちの中でも女子サッカーをしている子供たちがたくさんいるのですが、残念ながら中学校における受け皿がありません。ですから、中学校時の受け皿としてフットボールセンターを十分利用していただくようにお願いしたい。  また、女子サッカーをしている子供たちが夢と希望を持って競技を続けていけるように、今後、なでしこリーグに参加できるような女子サッカーチームの県内創設を視野に入れた女子サッカーの強化、支援体制の整備を進めるべきだと考えますが、教育長、いかがでしょうか。
    30 寺林教育長 昨年のなでしこジャパンの大活躍を契機にしまして、女子の間でもサッカー人気が急激に高まっているところであります。本県におきましても、女子の競技人口が増加していること、また、平成24年度から全国高校総体の正式種目となったことなどから、小中高の体育の授業でも女子にサッカーを取り入れる学校がふえてきております。  県では、新年度に競技団体等と連携しまして、新たに女子サッカーの普及、振興、強化に本格的に取り組むこととしております。このことから、強化拠点となります人工芝のサッカー場を活用しまして、地域や年代を超えた複数チームによる定期的な合同練習会、また有力選手やチームを招聘した強化練習会、また全国的なアドバイザーを招いた指導者講習会などを開催し、小学校から中学校、高校へとつながるよう一貫指導体制を整備し、競技力の向上を図ってまいりたいと思っております。 31 神田委員 海洋高校の跡地の周辺にまだ私有地があり、その私有地の持ち主の方も、この辺の活性化につながるのだったら、ぜひともいろいろなものを誘致してほしい、とおっしゃっています。そういう観点からしますと、女子サッカーチームができて、拠点を海洋高校の現在のフットボールセンターのところに置いていただいたら、滑川市民挙げて一生懸命応援させていただきますので、ぜひとも取り組みを進めていただきたいと思います。  少子高齢化が進んで、子供たちが年々、今後少なくなっていきます。となりますと、今後、小中学校において空き教室がふえる。もしくは統廃合によって学校がなくなる可能性もあります。年々子供の数が減ってまいります。空き教室は今もあると思いますけれども、どんどんふえていくわけであります。この空き教室の利用については、県の教育委員会の分野だけにとどまらず、県政全般で取り組める大きな要素を持っていると思います。  先ほど御紹介しましたが、現実に、災害時の備蓄施設として空き教室を利用するなど全国各地で取り組み事例があります。老人福祉施設、保育施設、また企業への貸与等、県教育委員会の枠を超えて県政全般で、そのあり方を検討していく必要があると考えますが、今後、ふえると推測される空き教室の有効活用について、現在の利用状況も含め、簡潔にお願いいたします。 32 寺林教育長 県内小中学校の余裕教室の利用状況でございますが、児童生徒の学習交流のスペース、またカウンセリングルーム、学校用倉庫として、学校において活用されている事例もございますし、それ以外にも放課後児童クラブ、地域防災用備蓄倉庫などとして有効に活用されております。  さらに、学校統廃合などに伴う空き校舎につきましては、平成14年から23年までに廃校となり、校舎が現存している小中学校36校のうち30校について利用状況がありまして、社会教育・社会体育施設、また地区コミュニティセンター、また体験交流施設などとして利用されているところであります。  さらに市町村におきましては、地域の特色や実情、地元住民の意向などを十分に踏まえまして、空き教室、空き校舎の有効活用について、計画、検討されているところであります。  県教育委員会としましても、今後とも市町村が空き校舎等を多様な目的に活用できるように、全国の活用事例や活用可能な国庫補助制度などについて情報提供を行い、個別の活用案についても適切な助言を行ってまいりたいと思っております。 33 神田委員 この空き教室の問題については、今後の大きな課題になってくると思いますので、よろしくお願いします。  最後に、知事にお伺いいたします。  前期学校再編に伴い、海洋高校以下5校が3月3日で閉校いたしました。この閉校に当たっては、それぞれの同窓会、並びに学校関係者の皆様方の心情ははかり知れないものがあります。事実、海洋高校を語る会で、同窓会の皆様方からは、やはり、なくなるのは寂しいという声がある中で、新タ滑川高校校長先生が、112年の歴史をしっかりと滑川高校海洋科で受け継ぎます、頑張ります、と言ったときには、万雷の拍手と声援が送られました。  新しい学校に期待しておられる面も非常に強いと思う反面、できれば知事に、それぞれの5校で、1分でも2分でもいいから学校関係者の皆さんに、今回はかくかくしかじかでこういうことになったけれども、新しい学校に引き継ぎますから、というお言葉があったら、同窓会の皆さんはもっと喜ばれたと思うわけです。それは知事の公務の中でできなかったと、私自身も認識いたしております。  ただ、関係の皆様方の思いからすれば、今後、それぞれの統合校に設置された新学科において、それぞれの廃校となった学校の歴史と実績を十分に生かした教育を行っていく必要があると思いますので、県及び県教育委員会の引き続きの御支援をお願いしたいと思います。  そこで、今回5校が閉校した県立学校における前期学校再編と、今後の再編に向けた知事の御所見をお伺いします。 34 石井知事 今回、再編対象になった5校については、それぞれ輝かしい歴史、伝統を持っておられたわけですから、それが閉じることについては、同窓会の皆さんを初め、関係者の愛惜の念がひときわ深いと拝察しております。ですから、まさに滑川高校の校長さんもおっしゃったようですが、その思いを受けとめて、新しい高校で一層教育の充実に努めていかなければいけないと思っております。  例えば新滑川高校では、海洋高校の水産教育を引き継ぐ海洋科を開設しますとともに、海洋実習棟を昨年11月に竣工して、学校の念願でありましたサクラマスの栽培実習を行うとか、また、今月末には新実習船も完成するということで、しっかりと海洋高校の伝統も引き継いでいただきたいと思います。  また、今後の再編ですけれども、基本計画では、「前期計画が実施された後、再編状況を踏まえ別途協議することが望ましい」とされておりまして、新高校で来年度いよいよ3学年がそろって本格的な教育実践が始まります。今後の中学校卒業者の数がどうなるかということもございますが、まず、やはり教育委員会で新高校の教育充実に鋭意取り組んでいただいて、その成果や課題を十分検討してまいりたいと思っております。  今回、閉校式がちょうど3月3日で同じ日になりましたので、行けなかったことは大変残念ですが、ただそういうこともあろうかと思い、これまで、開校式や実習棟の竣工式の際に、例えば滑川高校で言えば、海洋高校の同窓会長もいらしておりましたので、直接お会いして、御協力に感謝し、これからもしっかり取り組みたいという気持ちをお伝えしてきたところでございます。御理解を賜りたいと思います。 35 大野委員長 神田委員の質疑は以上をもって終わりました。        田畑裕明委員の質疑及び答弁 36 大野委員長 田畑委員。あなたの持ち時間は60分であります。 37 田畑委員 神田委員に引き続き、自民党より田畑裕明が質問させていただきたいと思います。  一昨日、ロンドンオリンピック男子マラソンに、藤原新選手を初め男女6人の方が選出されたという報道がございました。藤原選手の妻子が富山市在住ということで、よく報道に取り上げられていたわけであります。特にことしの元旦には、藤原選手は、験担ぎも兼ねて、また東京マラソンヘの練習に備えて、呉羽丘陵を走ったと報道されました。この夏のオリンピックに向けてじっくりトレーニングを積んでいただいて、すばらしい成績もおさめていただきたいと思いますし、もう二、三回、呉羽丘陵を走っていただけたら大変ありがたいと思っております。  また、オリンピック出場の県関係者には、カヌーの北本選手やバドミントンの佐々木選手も選ばれているようでございます。県関係の選手の活躍を御期待申し上げたいと思います。  それでは、質問に入ります。TPP参加についてでございます。  TPPは言うまでもなく、関税及び非関税障壁の撤廃を目指し、例外なく100%の市場開放を前提に、現在、参加加盟国でいろいろ協議されているわけであります。  一方、我が国は昨年11月、野田首相がTPP参加交渉に向けて関係国との協議に入ると表明し、いわゆる事前協議をしているところでございます。事前協議に当たっては、総理は、さらなる情報収集に努め、国民的な議論を十分に経た上で、あくまで国益の視点に立ち、TPPについての結論を得ていくことを言明していたわけです。しかしながら、実際は外交機密を前提に、交渉参加に有利な情報ばかりが流れている感じを受けますし、そのような姿勢には非常に大きな疑念を抱くわけであります。  そうした中、経済界、農業界からは、参加に対する賛成論、反対論がそれぞれ出ているわけであります。それはごもっともでありまして、それぞれの業界、団体にとって大変な大きなメリット、デメリットがあるわけです。  自民党は、聖域なき市場開放を前提としていることについて、参加交渉自体、反対という立場でもございます。これまでも貿易に関しては、FTAやEPAなど国別に経済連携の協定を結んできているわけですから、私もそういう形で、それぞれの分野で国別に得意分野を絞って交渉しながら市場を開放していくべきではないかと感じているわけであります。  何しろ交渉参加においての大義が全然ないのではないかと思います。今は震災復興にしっかり全力を挙げ、内需拡大で経済のデフレを克服しなければいけないのに、消費税を増税し、また、TPPによって市場をすべて開放するというのは、全くつじつまが合わないと感じているわけであります。  政府の方針は、あくまでも農業界におけるデメリットよりも経済界のメリットのほうがはるかに大きいから切り捨てようとしているのではないかとも思うわけです。民主党の看板政策であります農家の戸別所得補償制度についても、外国からは非関税障壁として、そういう制度はできないと言われるのではないかと思っております。また、何より地方の私たちにどれだけの影響があるのか、非常に心配で懸念しております。  TPPの条文の第11条は政府調達になりますが、これは政府による物品やサービスの購入、施設の建設などを指すわけです。ここで言う政府は、地方自治体、地方公共団体を含むと言われております。既に日本政府は、WTOの政府調達協定を取り交わしておりまして、政府や都道府県のいわゆる政府調達、公共工事等に関しましては、原則23億円以上の工事に対し広く門戸を開いており、外国企業も競争入札に参加できる取り決めがされているわけであります。  TPPに参加すれば、この予定価格が一気に6億3,000万円くらいまで対象工事が拡大されると言われております。しかも、これは県レベルではなくて、市町村までもが開放しなければいけないと言われているわけでありますが、県内経済への影響、とりわけ県内建設業に関して、どれほどの影響があると考えているのか、石井知事にお伺いいたします。 38 石井知事 TPPへの参加によります影響は、関係省庁が独自にそれぞれの分野について試算、検討をなさっているのですが、特に委員がお尋ねの建設業については、前田国土交通大臣が、今の時点では国土交通省所管分野に与える影響は、まだはっきりと判断しにくい、と発言されているとおり、具体的な議論の内容や今後の方向性が明らかになっていないものですから、今の段階で県内建設業にどのような影響が生ずるかについて申し上げるのは難しいということでございます。  委員が御指摘されていますように、このWTOの政府調達協定では、県と政令指定都市は、調達基準額が23億円以上の建設工事が国際入札の対象になっておりますが、TPPの母体である4カ国による経済連携協定(P4協定)では、地方団体は対象としていませんけれども、国の調達基準額は、委員が先ほど6億3,000万円と言われましたが、これは7億6,500万円と受け取っております。  TPPにおいて、仮にP4協定の調達基準額が地方団体にも適用されることになれば、本県では、この基準額を超えるような大型工事がそんなに多いわけではありませんが、入札条件として地域要件が設定できなくなり、国内外の企業が入札に参加することになりますので、地元企業への発注機会の減少とか競争の激化が予想されるわけでございます。  今までの国からの情報によりますと、TPPの調達基準の対象範囲としては、現在は中央政府の調達だけを対象とした議論になっていますが、今後、地方公共団体についても取り上げられるのではなかろうかと聞いております。  また、調達基準については、このWTO政府調達協定並みの規定とするのか、WTO並みだと国と地方で差がつくわけですが、あるいはそれを上回り、もっと地方にとって厳しいものになるのか、議論が分かれていると聞いております。  そこで、今いろいろ御指摘がありましたが、TPPに参加した場合に、それぞれの分野によってプラスになったり、大変なマイナスが出たりということが、それぞれあると思いますけれども、建設業は今でも大変厳しい状況にありますので、富山県としましては、今後のTPP交渉の推移も見ながら、状況によっては全国知事会でも議論する必要がありますが、私としては国に慎重に対応してもらうように必要な申し入れを行うなど、地元建設業を含む県内産業の発展と県民生活の安定が図られるように対処してまいりたいと思っております。 39 田畑委員 ありがとうございます。  まさに交渉中ということで、なかなか情報が出てきておりませんし、まさに国益というよりも省益が非常にぶつかり合っているわけであります。知事は、全国知事会を通じてでも慎重な対応を求めることを言明していただいたわけです。これはしっかりと地方の声として届けていただきたいとも思いますし、なかなか報道等もされない分野でありますから、私もしっかり関心を持っていろいろな面で発言していきたいと思っております。  ここで、委員長、資料の配付をお願いします。 40 大野委員長 はい、資料の配付を許可します。   〔職員、資料配付〕 41 田畑委員 今、委員長の許可をいただきまして、資料を1枚配付させていただいたわけであります。これは大変興味深い分析だと思って、私は常日ごろより意識をしていることでありましたので、皆さんに御紹介したいと思います。  左上に図表9とありますのが「明治9年の時点における人口ベスト15の都市」の一覧、また、右は「平成22年現在の大都市(政令指定都市および東京)」の図でございます。  明治9年、富山は5万人近くの人口でありまして、全国でも11番目、12番目ぐらいと言われております。そのとき金沢も全国で5番目ほどでありまして、東京、大阪、名古屋に次ぐぐらいの規模だったようであります。富山県、石川県を合わせると、本当に大きな人口集積圏を形成していたと言われているわけであります。  翻って図表10でありますが、これは現在の政令指定都市の部分でありまして、図表9と比較して、現在、政令指定都市から外れたところは×印がついております。熊本は、今は政令指定都市になっているわけでありますが、何が言いたいかといいますと、御承知のとおり今は太平洋ベルト地帯を中心に人口が集積しているわけであります。  その下の図表11は、新幹線との比較でありますが、御承知のとおり、こういう形で新幹線が走っているわけであります。明治、大正、昭和、平成と来て、それぞれの都市の衰退や発展には、さまざまな要因があると思いますが、一つの切り口として考えれば、新幹線が通ったかどうかで、都市が荒廃したのではないかということを象徴するものであります。上越新幹線が走っている新潟は、明治9年には日本の人口ベスト15にも入っていなかったわけでありますが、今は政令指定都市になっており人口が集積しているわけであります。  今後、起こり得る関東や東海、東南海の地震に対しても、国土の機能の分散化、バックアップ機能をしっかりつくった国土形成をしていかなければいけない、そんな論理が叫ばれているわけであります。特に大都市圏と言われる、東京、大阪、名古屋を結ぶラインで、川崎ですとか、静岡、浜松、また堺という都市が大きな人口集積圏を形成しておりますので、やはり北陸新幹線も金沢や敦賀でとまるのではなくて、関西までしっかり通すことが、富山県の発展の大きな光明の一つになるのではないかと思います。全線整備について、しっかり頑張っていかなければいけない。この図を見ても、非常に燃えてくるというか、そのように私自身は感じているわけであります。  そういうことを踏まえて、並行在来線について質問させていただきたいと思っております。  私の居住している地域は、建設をしている新幹線、並びに在来線がまさに並行して走る地域でございます。市街化区域を走る予定になっておりまして、これまでも用地交渉で、いろいろと大きな困難があり、時間が費やされたわけであります。身近な校区では新幹線工事に伴い、大切な土地を提供し転居をやむなくされた方も70世帯近くあったわけです。転居された方、また今後も身近で間近に鉄軌道と接しながら生活をしていかなければならない方々の思いを背負って質問をさせていただきたいと思います。  まず、経営分離される並行在来線は、総延長が富山県内は98.7キロメートル、管理する駅は越中宮崎駅から石動駅間で19駅かと思います。富山駅は今、新幹線の乗り入れに関していろいろ新築工事がなされております。その他の現JR駅舎は非常に老朽化しておりますが、そのまま並行在来線の駅として県民が利用する拠点になるわけであります。  現在のJR北陸本線の駅舎の耐震化、バリアフリー化について、知事政策局長にお伺いしたいと思います。 42 吉田知事政策局長 駅舎の耐震化につきましては、建築物の耐震改修の促進に関する法律におきまして、所有者は耐震改修を行うよう努めなければならないとされております。  同法の努力義務の対象となる駅舎は、昭和56年度以前に建築され、3階以上、かつ床面積が1,000平方メートル以上の建築物でございます。現在、該当しますのは富山駅と高岡駅でございますが、富山駅は改修中でございまして、昨年、高岡駅は改修済みでありますことから、県内には該当する駅はないことになります。  なお、1日の平均利用者数が1万人以上で、かつ折り返し設備等を有する駅舎については、国では緊急的に耐震補強をするよう行政指導をしており、県内では同じく富山駅と高岡駅がこの基準に該当しますが、今ほど申し上げましたように両駅の改修により対応済みとなっております。  また、バリアフリー化につきましては、バリアフリー法に基づいて国が定めました移動等円滑化の促進に関する基本方針におきまして、これまで1日の平均利用者数が5,000人以上の駅が対象とされてまいりました。県内区間で該当しますのは、富山駅、高岡駅、魚津駅、小杉駅の4駅でございましたが、このすべてでバリアフリー化の対応が図られているものと承知しております。  また、昨年度末の基本方針の改正によりまして基準が引き下げられ、1日の平均利用者数が3,000人以上の駅について平成32年度までに原則としてバリアフリー化することとされたところでございます。JRからは、昨年度の利用実績から、県内の駅につきましても幾つか追加的に対象となる可能性があり、対応について検討しているところと聞いております。対象となる駅がございましたら、地元市の意見を踏まえ、JRにおいてバリアフリー化を適切に進めるよう要請してまいりたいと考えております。 43 田畑委員 ありがとうございます。  いろいろ基準が定められているということで、駅舎についても1,000平米以上ということでありますが、バリアフリー化についてはそれなりに順番に対処されているという御答弁でありました。県民に愛されるマイレール意識が持てる鉄道にしていこうと日ごろからもおっしゃっておられるわけですので、基準は基準かもしれませんが、使い勝手のいい、また、利用者の方が愛着を持てる駅舎を育てていかなければいけないのではないかと思います。  そもそも、そういう施設の改修に関して今までも地域の沿線の市、時には自治会もあると思いますが、例えば、駅周辺のトイレも含まれたりする場合もあったかと思います。実際、いろいろ基準はあるが老朽化していることも現実だと思います。やはり改修すべき点もあると思っております。  そんなことについて、今、交渉している最中であり、JR西日本がやるべきことと、受け継いでからやるべきことを整理しなければいけないこともあると思います。もろもろ含めての老朽化に対する対応について、お聞かせいただきたいと思います。 44 吉田知事政策局長 JRから譲り受けます資産につきましては、駅舎や踏切も含めまして老朽化等により修繕や改修すべき施設は、あらかじめ必要な修繕等を行った上で譲渡を受けるなど、開業後の経常的な経費ができるだけ軽減されるよう、現在、JRと交渉しているところでございます。  具体的に申し上げますと、すべての譲渡施設について事前にしっかりと調査・点検すること、調査・点検の結果、施設に損傷や異状がある場合は確実に修繕すること、老朽化した施設など、更新時期にあるものは速やかに修繕や改修を行うこと、さらには、こうした必要な修繕等については、できるだけ前倒しして実施することなどをJRに強く求めておりまして、引き続き粘り強く折衝してまいりたいと考えております。  また、これまで沿線市町村などからJRに対して行われた施設の改修などの要望につきましては、沿線市町村から伺って要望内容を改めて確認するとともに、JRとの交渉を進める中で、その対応状況についても確認してまいりたいと考えております。 45 田畑委員 しっかり強く交渉していただきたいと思うわけでありますが、資産譲渡の交渉について、さらに触れたいと思います。  不動産、動産などの細かい分野まで、収支面や利便性、耐久性などを考慮しながらいろいろ交渉なさっているのではないかと思っております。中には、石川県並行在来線協議会の資料を見れば、車両基地等は富山県の場所を活用したり、車両の検修も富山県のほうにお願いをしたいと記載されているわけであります。  実際、交渉中で確定的なことは言えない部分もあるかもしれませんが、本県にとっての必要、不必要を判断する基準は、どのように定めているのでしょうか。その辺が少しわかりにくいと思っているわけですが、交渉の成果、経過も含めてお聞かせいただきたいと思います。 46 吉田知事政策局長 鉄道資産の譲渡価格を極力低廉な価格とするためには、並行在来線の運営に必要な施設と不要な施設をしっかりと切り分けることが重要であると考えております。  その際には、現在JRにおいて有効に活用されている施設であるかどうか。また今後、普通列車が中心となる並行在来線の運行に必要な施設かどうか。さらに、効率的な事業運営や施設の管理を行う上で必要な施設かどうかといった観点から、施設の必要性や規模などを見きわめているところであります。  このため昨年度から、軌道や電気設備、橋梁等の土木施設などの配備の現状や使用状況、老朽化の状態などにつきまして、施設ごとに記録簿を作成しながら、現地での確認作業を行ってきているところでございます。  また今年度からは、専門的な知識を有する職員をJRから派遣していただいたこともありますので、こういった職員にも加わっていただいて、鉄道施設が集中し、経営分離後も一部JRが使用することとなる富山駅や高岡駅、また富山車両基地などについて重点的に詳細な調査を行い、譲渡を受ける範囲や施設などについて交渉を進めているところであり、順次、他の資産についても交渉を行っていきたいと考えております。  鉄道資産の譲渡につきまして、これまでの交渉の状況は、現段階で具体的にお答えできる状況にはございませんが、何とか年内には交渉のめどをつけるよう努力する必要があると考えており、今後とも、精力的に、具体的にJRとの交渉を進めてまいりたいと考えております。 47 田畑委員 引き続き、出資のことについてお聞きしたいと思います。  並行在来線が本県の幹線鉄道として、多くの県民の日常の生活の足を確保していくことから、県内全体で支えていこうと、今、準備会社についても出資金を、県が63%、市町村が27%、民間は10%と定められたわけであります。  さらなるマイレール意識の醸成を図るために、例えば準備会社段階からでも、個人からの出資を考えてもいいのではないかと感じるわけです。その辺について、何か考えていらっしゃることがあればお聞かせいただきたいと思います。 48 吉田知事政策局長 並行在来線につきましては、今ほど委員に御紹介いただきましたように、先般の県並行在来線対策協議会におきまして、三セク会社の出資比率を、県が63%、市町村が27%、民間が10%と決定したところであります。このうち民間からの出資につきましては、出資額も相当の規模になりますことから、経済団体等の協力を得まして、県内の有力企業を中心に出資を募ることといたしております。  一方、先般取りまとめました経営計画概要(第1次)におきましては、三セク会社の経営安定を図るためには、利用者の増加や収支の改善を促す施策を推進する必要があるとし、その方策の一つとして県民のマイレール意識の醸成を図ることを記載しております。  具体的には、本格会社の社名は、県民に自分たちの鉄道として親しまれる名前となるよう、県民等からの募集提案を含め検討すること、駅舎には、沿線市町村や地域住民の意見等も踏まえ、利便性の高い施設等を誘致すること、駅を地域の顔として愛着を持って利用していただくため、地域住民に駅でのイベント開催時の協力や、駅周辺の清掃、美化への参加を促すこと、会費制のサポーターズクラブの創設など、沿線地域住民による三セク会社支援や利用促進を図るための仕組みづくりを検討することなどを盛り込んでいるところでございます。  このように県民の三セク会社へのかかわり方につきましては、さまざまな形があると考えており、現時点では県民個人の出資ということは考えておりませんが、それ以外の県民のマイレール意識の醸成を図る取り組みについては、積極的に推進してまいりたいと考えております。 49 田畑委員 ありがとうございます。やるべきアイデアはたくさんあろうかと思いますし、また、いろいろな方のお知恵を取り込んでいただきたいと思います。  そうなれば恐らく運用は民間会社になるわけですが、やはり経営陣も民間の感覚を取り入れて、柔軟にこれまでの経験を踏まえた、行政視線ではない経営が非常に求められるのではないかと思います。  実際、しなの鉄道はJR出身の方が社長ではなかったかと思いますし、新潟県の三セク会社も並行在来線の会社の出身者の方が社長についていらっしゃいます。本県における三セク会社の経営陣、特に代表者は民間人がふさわしいのではないかと思っております。そういった執行部体制といいますか、経営陣の構想についてお聞かせいただきたいと思います。 50 吉田知事政策局長 並行在来線を運営する三セク会社につきましては、本年7月ごろに準備会社を設立する方向で準備を進めることとしておりますが、準備会社では、当面、来年の社員の採用や研修に向けた準備を行う予定であり、その後、25年度に増資をし、本格会社へ移行する予定でございます。  三セク会社の経営は、県民生活の足の確保やまちづくりとの調和など、公共公益性の強い事業である一方で、民間の経営感覚も求められることから、先行事例を見ても、社長を含む経営幹部につきましては、行政出身者がなっている場合もあれば民間出身の方がなっている場合もあります。また、代表者である社長につきましては、適切な人材に就任していただき、しっかりとした経営理念に立って、県、市町村、民間などの出資者の意見や沿線住民の理解を得ながら、並行在来線の安定経営に努めていただく必要があると考えております。  いずれにいたしましても、何らかの形で民間の経営感覚を有する人に参画していただく必要があると考えておりますが、今後、特に本格会社に移行した後の経営幹部の人選に当たりましては、行政、民間を問わず幅広く検討してまいりたいと考えております。 51 田畑委員 ありがとうございます。現在も並行在来線対策協議会の専門委員には、IGRいわて銀河鉄道の方も入っておられるわけでありますので、また、これからしっかり煮詰めて進めていただきたいと思います。  次の質問に移ります。地方への権限委譲についてでございます。  私的には地方分権と言いたいわけですが、平成22年6月22日の閣議決定を受けました地域主権戦略大綱を踏まえて、関係法令の整備がこれまで行われてきたわけであります。基礎自治体への権限移譲や義務づけ、枠づけの見直しなどです。  この4月からは第2次一括法として、47法律54項目にわたりまして、県から富山市を初め県内市町村へ権限が移譲されるわけであります。中には特例条例で既に移譲済みの部分もあろうかと思いますが、今回、生活衛生に関してや老人福祉法の一部が富山市へ、社会福祉法人に関する定款の認可などの社会福祉法や、都市計画法の一部の項目の他の9市への移譲が予定されています。  ここに至るまで関係市町村との間で意見聴取や説明会が実施されてきたと思いますが、事務のスムーズな引き継ぎや、関連業種の方々、県民生活に支障や混乱が生じないよう、当面はしっかりサポートをしていくべきだと思うわけであります。そのことについて出口経営管理部長にお伺いをいたします。 52 出口経営管理部長 昨年8月に公布されました、いわゆる第2次一括法におきましては、住民に最も身近な基礎的自治体が可能な限り多くの行政事務を広く担うことを方針といたしまして、60項目余りについて都道府県の権限を市町村に移譲することとなりました。  このうち県内の市町村には、政令指定都市等への移譲事務を除く51項目が法定移譲されることとなっております。なお、この中には、今回の法制化に先駆けて条例による事務処理の特例制度を活用して、既に本県から市町村へ一部移譲済みのものが18項目含まれております。  御指摘がございましたとおり、今回の法定移譲された事務につきましては、執行体制の整備に時間が必要な一部のものを除きまして、新年度から市町村が行うこととなりますため、その円滑な事務の実施の確保に向けまして、市町村を支援していく必要があるものと考えております。  このため県におきましては、これまでも市町村の御要望を伺いながら、事務引き継ぎマニュアルの作成や説明会の開催、電話での相談対応など、円滑な事務の引き継ぎに努めてきております。これらを受けて、各市町村においても着実に準備が進められているものと承知しておりますが、今後とも緊密に市町村と連携を図りまして、法の施行後においても必要な助言等を行うなど、引き続きしっかりとサポートしてまいりたいと考えております。 53 田畑委員 ありがとうございます。法律に従って、しっかりスムーズな引き継ぎ等をお願いしたいと思います。
     それでは、土木部長に公園施設長寿命化計画等についてお伺いをさせていただきたいと思います。  本年、県が新たに公園施設長寿命化計画を策定することが予算に上がっているわけであります。一口に都市計画法でいう公園施設と言いましても、植栽などの修景施設、休養施設、遊戯施設、運動施設、また教養施設やそれに付随する管理施設や、中には災害対策に関する施設も含まれるのではないかと思います。  まず、ここで言う公園施設長寿命化計画の対象となる公園や計画期間について、牧田土木部長にお伺いいたします。 54 牧田土木部長 都市公園の施設につきましては、今後、老朽化の進展により更新時期が集中し、一時的に大きな負担が生じることが懸念されますことから、対症療法型から予防保全型の修繕に転換し、施設の長寿命化、ライフサイクルコストの縮減、年度ごとの維持修繕に要する費用の平準化などを図ることが必要であると考えております。  このため、太閤山ランドや富山県総合運動公園など、土木部が管理します8つの県立都市公園を対象に、公園施設の維持修繕に係る計画、いわゆる長寿命化計画を策定することといたしております。今年度は、予備調査として長寿命化計画の対象となる野球場などの運動施設や遊具、休憩施設などのライフサイクルコスト縮減が見込める公園施設の洗い出しを行ったところでございまして、平成24年度には、この予備調査を踏まえ計画を策定することといたしております。  この計画の策定に当たりましては、公園施設の劣化状況等を確認する健全度の調査、補修の優先順位を定める緊急度の判定、これらの調査、判定に基づく長寿命化対策の検討とその費用の算定を行いまして、その結果を踏まえ、計画期間を10年とする維持修繕の年次計画を取りまとめたいと考えております。  今後とも安全で快適な公園の利用が図れるよう、計画的、効率的な公園施設の管理に努めてまいりたいと考えております。 55 田畑委員 ありがとうございます。  8つの公園の10年間の計画について、今、御答弁がございました。幾つかの公園は老朽化しているところがあると、私も感じております。修繕だけではなくて、中には災害に対応する広場的な機能も非常に大事ではないかと思います。  中身の検討の結果いかんによっては、ますます多様化している社会ニーズに対応した公園施設に再整備することも必要であるし、そのような視点をもって検討すべきではないかと思うわけでありますが、いかがでしょうか。 56 牧田土木部長 良好な都市景観の形成を図るとともに、県民の多様なニーズにこたえるため、県では、レクリエーションの場となる太閤山ランドや、各種競技、スポーツの拠点となる総合運動公園などの都市公園の整備を進めてきたところでございます。  少子高齢化の進展による公園施設のバリアフリー化や、東日本大震災を経験したことによる一層の防災機能の確保など、公園施設に求められる機能が変化してきておりまして、委員の御指摘のとおり、これらの多様なニーズに対応した公園施設の再整備を図っていくことが大切であると考えております。  これまでも、太閤山ランドでは、老朽化した遊具について、子供たちの意見を反映しロケット型の大型遊具としたり、岩瀬スポーツ公園や常願寺川公園では、トイレの修繕の際にバリアフリー化したトイレに再整備するなどの対応をしてきております。また、富岩運河環水公園では、子供の遊べる場所が欲しいとの要望がありましたことから、子供たちに大変人気の高いふわふわドームを備えた見晴らしの丘の整備も行ったところでございます。  今後とも利用者ニーズ等を踏まえ、多くの県民の皆様に利用しやすい公園となるよう努めていきたいと考えております。 57 田畑委員 前向きに取り組まれた事例を御紹介いただき、ありがとうございます。御答弁にあったように、県民ニーズをしっかり把握して対応していただきたいと思います。  そこで一つ、具体の場所についてお伺いしたいと思います。  今年度、予備調査をされたとおっしゃられた県営球場でありますが、この五福公園の施設の現状を踏まえての今後の対応について、どのようにお考えでしょうか。 58 牧田土木部長 五福公園は昭和33年に開園した面積15.6ヘクタールの県立都市公園で、市街地に近く、路面電車を利用できるアクセスのよさから、県営野球場、陸上競技場などのスポーツ施設の年間利用者は約16万人に上るほか、ジョギング、散策など、多くの県民の皆さんに利用されております。  また、当公園では、高校野球富山県大会を初め県内の主要なスポーツ大会等が開催されているほか、平成18年度からはBCリーグの富山サンダーバーズの試合も行われております。  また、公園の指定管理者でございます財団法人富山県民福祉公園では、プロスポーツ選手によるサッカー教室の開催や、冬季のイルミネーションの実施など、公園の利用促進を図る取り組みも行われております。  委員が御指摘のとおり、開園から50年余りが経過し施設の老朽化が進んでいることから、これまでも適時に修繕を実施してきておりまして、平成22年度には野球場の排水改修や遊具の再整備、平成23年度には野球広場の排水改修を行っており、さらに平成24年度には第2種公認となっております陸上競技場の公認を更新するために、トラック走路の一部改修を行うことといたしております。  五福公園は、スポーツの競技力向上に大きく寄与するとともに、多くの県民の皆様に御利用いただいている大切な都市公園であることから、今後とも必要な修繕を行うなど、適切な公園の管理運営に努めていきたいと考えております。 59 田畑委員 貴重ないい場所にあり、そしてまた、健康増進やさまざまなスポーツの拠点としてこれからも大切にしていきたいという御答弁であったかと思います。  一方、これは報道の範囲の話でありますが、富山大学地域生活研究会が、LRTを富山大学工学部方面に延伸したいということで、五福公園の県有地を活用することを検討しているやの報道があるわけです。管理は土木部でありまして、報道によると、五福公園の中に軌道が入るのではないかと想定されるわけであります。  このことについて、今、牧田土木部長から五福公園は大変大切だというお話があったわけでありますが、県としては何か受けとめていらっしゃることがあるのか、また、お考えについてお聞かせいただきたいと思います。 60 牧田土木部長 五福公園につきましては、今ほどお答えいたしましたように、県営野球場、陸上競技場などが整備され、多くの県民の皆さんに利用されております大切な公園でございまして、その敷地は都市内の貴重なオープンスペースでございます。また、都市公園法では、都市計画道路の整備などの都市計画事業が施行される場合などを除きまして、その一部であってもみだりに廃止してはならないと規定されております。  御質問のLRT延伸につきましては、新聞報道等はされておりますが、具体的なお話があったわけではなく、詳細については承知していないことから、公園を管理する土木部といたしましては、公園への影響について判断できないため現時点でのお答えは難しいことを御理解いただきたいと思います。 61 田畑委員 部長からは、大切な公園である、また計画変更は一部であろうができかねるという御答弁であったかと思います。  質問を次に進めたいと思います。県産農産物の輸出促進等についてお伺いをしたいと思います。  私は、この2月に同僚の武田県議、吉田豊史県議、また県内の市議会議員の皆さん方と香港に視察に行ってまいりました。目的は観光事情、また日本の震災、原発に関する動向についてもお聞きをして、県産農産物のPR、農産物の流通事情を視察してまいったわけであります。  改めて申し上げますと、香港は人口約710万人、入国する外国人は年間4,000万人だと言われております。そのうち2,600万人近くは中国本土からだということでありますが、言うまでもなくマンモス市場であります。ちなみに年間、日本に対して外国人がいらっしゃる人数が、22年度でも860万人程度でありますから、香港に4,000万人が来るということ自体、大変な驚きであります。  香港から海外渡航先のナンバーワンは台湾であり、年間80万人だそうであります。第2位は日本であり、年間50万人ほど──昨年は地震、原発事故の影響もあり36万人ほどに落ち込んでおりますが、日本に来る香港人は8割以上が個人客であり、2回以上のリピーターが8割を超えるという成熟市場でもあります。  また、香港の農産物輸入国の1番は日本でございます。世界の港湾貨物の取扱量は世界第3位であります。対岸の中国深センを合わせますと世界1位になるわけでありますし、空港貨物取扱量も世界1位であります。まさに貿易で成り立っているところであります。  現地では日系のスーパーを回ってまいりまして、また、インポーターとして日系食材を扱う商社の方々とも懇談をしてまいりました。行って気づくのは、特に日本の九州産の農産物の多さであります。農産物だけではなく、日本酒、焼酎もありました。特に2月ということでイチゴがたくさん並んでおりました。福岡県のあまおう、佐賀県のさがほのか、熊本県のひのしずく、また、宮崎県のかんきつ系のデコポン、ブンタンや、食肉では、佐賀牛や鹿児島県の黒豚などです。たくさん並んでおりました。  きょうはホワイトデーでありますが、渡航していたときはバレンタインデー前後でありまして、珍しいと思ったのは、ロースの黒豚2枚をハート型に並べていました。バレンタインは、ショウガ焼きでしょうか豚カツでしょうか、家で豚肉を食べようということで、パックの豚肉のロースがハート型に並んでおり、なかなか日本人の感覚ではないものだと思いましたが、大変に商魂たくましく、すごいなと思いました。それも鹿児島県の黒豚でした。  インポーターの方といろいろ話をしていて、近年は特に韓国からの輸入が非常に増えてきており、しかも、日本製よりも商品的には劣るが少し安い価格だということであり、安価なものが入ってきているということでありました。  我が郷土の農産物はないかと思って一生懸命探しておりました、何とか1品ございました。福光の干しガキでございました。最高級品20個入りで、日本円で9,000円ほどであります。それでも売れているということでありました。今年度、県も日系スーパーで販売しておられたようですが、別の流通ラインからも干しガキが入っているのではないかと思います。  香港、そのほか東南アジア等のアジア諸国でも、この事例のように他県は非常に力が入っています。そこには農業団体等の力もあるのではないかと思っておりますが、後発ではありますけれども、積極的に進めていくべきではないかと思います。県産農産物の輸出に関しまして、寺井農林水産部長にお伺いいたします。 62 寺井農林水産部長 我が国の農林水産物の輸出は、平成17年の4,008億円から22年の4,920億円と増加しておりまして、国においては、その倍の1兆円を目標に積極的に取り組んでおります。  地域別では、やはりアジアが中心でありまして、全体の74%を占めておりますが、その中でも香港の26%がトップで、台湾が2番目で12%、次いで中国、韓国、タイ、シンガポールの順であります。  香港や台湾では、日本産の食品に対する信頼が高いこともありまして、御質問のとおり、デパートやスーパーの店頭に九州産などの農産物がかなり出回っております。これまで本県からは、せんべいやドレッシング、鶏卵、日本酒などがスポット的に輸出されておりますが、まだ継続的な取引には至っていないのが現状でありまして、安定的な取引に結び付くようにしていく必要があると考えております。  一方、最近の本県の米の輸出につきましては、増加しておりまして、平成22年度実績では、香港、台湾、EUなどへ220トン、全国シェアで12%、前年の約10倍に伸びているのが現状であります。 63 田畑委員 いろいろ分析をなさっており、また、スポット的ではあるが輸出されているという御答弁であったと思います。  今年度、バイヤーの招聘、海外の見本市への出展、また、トライアル輸出やさまざまな販路の拡大、定着化についても予算措置がされているわけであります。産地を形成したり、生産者の理解、また生鮮的なことを言えば、いろいろ受け入れ側のニーズとマッチしないといけないし、やはり鮮度というものも非常に農産物は大切になるわけであります。  今までの輸出に関しての評価も含めて、前段の答弁にも重なるかもしれませんが、もう少しこうしていこうという意気込みというか決意を、寺井農林水産部長にお伺いいたしたいと思います。 64 寺井農林水産部長 これまで県産農産物の輸出促進を図りますために、農林漁業者や食品加工業者に対する輸出セミナーの開催、台湾のデパートでの物産展、商談会の開催、それから海外からバイヤーを招聘した商談会の開催、そして海外見本市への参加支援などに取り組んでおります。  また、一昨年5月には、関係団体も含めて富山県農林水産物等輸出促進協議会を組織化して努力しております。県とこの協議会におきましては、輸送条件やコスト、輸出先でのニーズを把握するために、昨年度は県産のリンゴを中国とロシアに試験輸出しましたし、本年度は御質問にあったように富山干柿を香港に試験輸出しております。その結果、品質や味についてはまずまずの評価をいただいておりますが、本格的な輸出に向けましては、値段が高いことや認知度の面で課題があることがわかってまいりました。  農産物の輸出の取り組みはまだ始まって間もなく、また、今は原発事故の影響もありまして大変厳しい環境にありますが、将来をにらんで引き続き積極的に取り組んでいく必要があると思っております。  このため、新年度におきましては、9月開催の富山県ものづくり総合見本市NEAR2012に合わせまして、中国、香港、台湾、シンガポール等の食品バイヤーを本県に招聘いたしまして、実際に品質のよさや特色を確かめていただいて商談をしてもらうこと、また、海外でのニーズ等を把握し、県産品の認知度を向上するために、引き続きトライアル輸出や試験販売を行うことを予定いたしております。農業者や食品加工業者の皆さんに、ぜひ積極的にチャレンジしていただくように働きかけまして、一層促進していきたいと考えております。 65 田畑委員 今年度の計画的なお話もされたわけでありますが、私も、どの都市ものべつ幕なしに取り扱うことはないと思っておりますし、ある程度の都市や国を絞って取り組むことも非常に大事だと思っています。  香港についても、港湾について非常に多くの取り扱いを行っております。今、日本海側拠点港の関係でも、上海や香港を結ぶ航路の開拓についても調査することになっております。この定例会の答弁でも、米の輸出に際しては、中国に関しては薫蒸しなければいけないということでありますが、香港はそうではないと思いますので、相手国や、こちらの産地の事情を踏まえて、特に民の力をしっかり引き出して、取り組んでいただきたいと思っております。部長、どうもありがとうございます。  県産の農産物の関係で、アンテナショップについて触れたいと思います。  この予算特別委員会でも筱岡委員の質問で、首都圏における野菜の積極的な販売や、そのチャンネルの拠点として、いきいき富山館をしっかり活用していくという知事の答弁もあったわけです。いきいき富山館は、来年度でしたか、リニューアル開館して10周年を迎えると思います。  なお、近年の売り上げをお聞かせいただいていたのですが、うれしいことに非常に伸びているということで、平成19年度売上高が1億3,000万円、20年度は1億7,300万円、21年度は2億1,800万円、22年度は少し落ち込みましたが、それでも2億円を突破しているということであります。売れ筋としては、ますずし、地酒、かまぼこ、ホタルイカ等が列挙されているわけであります。都心の拠点、まさにアンテナショップですから、拠点としていろいろ発信していくことが期待されるわけであります。  あの有楽町の場所に何度も行きますが、観光スペース、また職員の方が事務をするスペースもありますけれども、スペースは分散し、店舗の大きさは、かなり手狭だと見受けられるわけであります。テナントとして入っておりますので、家賃の関係等いろいろ事情があるとは思いますが、立地的なこと、スペースも考えた中で、どのようにできるのか、今までも苦慮していらっしゃると思いますが、アンテナショップの機能強化も含めて、石井知事の意気込みやお考えをお聞かせいただきたいと思います。 66 石井知事 いきいき富山館につきましては、今、委員がおっしゃったとおり、面積がやや手狭で、また、物産館と情報館が分離しているということはあるのですが、JR有楽町駅に隣接して利便性が高いとか、周辺に商業施設が増加して人が多く集まるエリアになっているとか、いろいろ利点がありまして、場所としてはいい所ではないかと思います。  10年前にスタートしたときは、今以上に狭かったので、平成18年に物販部門を当初面積の約2倍にしまして、新しく情報館も設置したわけでございます。  先ほど委員から紹介がありましたが、平成15年ころにスタートしたときは4,800万円ほどの売り上げで、物販面積を広げたことによって1億円台になり、今は2億円台です。ちょうど私が知事に就任したときは1日10万円ほどの売り上げがあると、まあ、よかったなという感じだったのですが、昨年1年、1日平均で56万円ほど売れるようになりまして、特に昨年の暮れは東日本大震災の影響も少しあったということでもありましょうか、年末12月28日、29日は1日で220~230万円売れたということでございます。  ですから、お話のように右肩上がりになっておりますし、正直、本当は少しスペースを広げたいと思っているのですが、逆に言うといい場所ですから、値段の問題ももちろんありますけれども、なかなかあかないという問題もあります。  そこで、いよいよ3年後、北陸新幹線開業でありますので、この富山県を首都圏の皆さんに身近に感じてもらえるように、さらにアンテナショップの機能を情報発信面でも強化したい。  また、外商部門の強化策として、例えば日本酒の商談会とか、物産展とか、外部の催しなどに出展したい。例えば、ことし2月、ある都市銀行で富山フェアをやってくださって、そこに出展したら、最初の2時間で富山県のお酒が100本全部売れてしまったということもあります。  それから、農商工連携で開発した商品や、富山県認定のトライアル商品のテスト販売をしたり、また、例えば高岡漆器や銅器などの新商品を発掘して売ってみるとか、アンテナショップと民間事業者の方が連携して売れる商品づくりを進める、そのてこにしたいと思っております。  さらに、先ほど農産物の話が出ましたけれども、ぜひ富山県のお米や野菜を首都圏でも販売したいと思っておりまして、本格的に首都圏に売り込むことにしているのですが、その際にも、アンテナショップに一定の役割を果たしてもらえることがあれば、やろうと思っております。  委員から大変前向きな御意見をいただきましたが、しっかり取り組んでいきたいと思います。 67 田畑委員 ありがとうございます。これは他県も当然一生懸命やっているわけでありますので、違いを見せながら、なおかつ素材や商品力は富山県のほうが非常に高いと思っておりますので、知事の発信力をもって取り組んでいただきたいと思います。  場所についても、これはいろいろ課題だと思いますが、これはアンテナを高くして、不動産物件ですから、いつかあくときもあるのではないかと思います。私も応援したいと思いますので、ぜひ頑張って取り組んでまいりましょう。  それでは、最後の質問であります。防災対策でありますが、1点、質問させていただきたいと思います。  ハード、ソフト両面で災害に粘り強い都市やまちをつくり、バックアップ機能を強化した国土を形成するために、国土強靭化と言われるような考えが広まってきつつあるのではないかと思います。大災害に見舞われましても十分な備えであったり、十分に耐えたり、なおかつ回復をしたり、国家国民を守る強くしなやかな国土をつくるという考え方ではなかろうかと思っております。  その中において社会の構成員として個々の私たちがあるわけですが、そのほかにも当然、企業やさまざまな団体等があります。中小企業についても、大震災、津波、時には新型インフルエンザといった伝染病であったり、そういう緊急事態に事前に備えて、どう行動し対処するかを、経営者にとっても喫緊の課題として突きつけられてきているのではないかと思います。  そんな中で、中小企業において、BCP(business continuity plan)と言われるようなことが以前からよく指摘されておりましたが、この大震災を契機に、大企業だけではなくて中小零細企業においても、やはり商取引の関係、また従業員の生活を守ることからも、しっかり計画していかなければいけないのではないかと強く感じております。  県内においても、今年度新たに予算措置がされているわけでありますが、BCPの策定状況、また、計画策定に関する支援の取り組みについて、荒木商工労働部長にお聞きいたします。 68 荒木商工労働部長 事業継続計画(BCP)の普及につきましては、中小企業庁で運用指針を策定いたしておりますが、県内の経済団体でも、県の助成金などを活用した研修会の開催などを行ってきております。  県内の策定状況ですが、ライフライン関係の事業者や金融機関等については、BCPは策定されているとお伺いいたしております。中小企業者につきましては、民間の信用調査会社が昨年4月に行いました抽出調査では、策定済みの企業が3.3%、今後策定予定とした企業が16.7%となっております。なかなか策定が進まない理由といたしましては、策定方法がわからない、人手が足りない、コンサルタントへの委託にコストがかかるといったことが主な理由として挙げられております。  東日本大震災でサプライチェーンの寸断ということがありまして、BCPの重要性が改めて再認識されているわけですが、個別企業ではなかなか取り組みが進まないという状況を踏まえ、県におきましては、新年度、地震などの自然災害時の事業継続につきまして、1つには、同業種で組織されました協同組合での取り組みで、これは1社のモデルプランを構成企業間で共有できるというメリットがございます。また、一定の地域に集積していることから、共通のリスクを持ちます工場団地、あるいは商店街の振興組合などにおきまして、モデルとなるような事例を策定し、これによって組合員企業の策定を促進する。  あるいは、モデル事例集として取りまとめまして、他の組合にも普及を図っていくということで、BCPの策定が進むように取り組んでまいりたいと考えております。 69 田畑委員 ありがとうございます。策定済み3.3%でありますので、危機管理の観点からも、しっかりと策定にバックアップをお願いしたいと思います。  以上で質問を終わります。 70 大野委員長 田畑委員の質疑は以上をもって終わりました。  暫時休憩いたします。  午後の会議は1時に開会いたします。                     午後0時02分休憩                     午後1時00分開議        永森直人委員の質疑及び答弁 71 井村副委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  永森委員。あなたの持ち時間は60分であります。 72 永森委員 無所属クラブ、永森直人でございます。いただいた時間に感謝をいたしまして、早速質問に入らせていただきたいと思います。  初めに、高齢者医療と介護につきましてお尋ねをさせていただきます。  高齢化に伴いまして介護の需要がどんどん増加しておりますけれども、この介護というものは原則的には、ある日突然必要になるというものではありません。通常はその前段階があります。要介護に至った原因の大半が脳卒中や骨折などであるように、何か医療を要する事件事故があり入院する。これが要介護となる入り口であると思います。私は、この要介護の入り口と言える医療の処置を適切に行っていくことで、介護の需要を大きく減らしていけるのではないかと考えております。  例えばこういう話であります。80歳を過ぎた元気なおばあさんがおられました。ある日、ちょっとした不注意で転倒して骨折で入院、手術となりました。ここからわかりやすく2つの例を紹介します。  ケース1では、手術後、痛みに耐えながらもすぐにリハビリを開始し、5日後にはつえをつきながらではありますが、何とか歩けるようになりましたので退院されました。退院後も通院によりリハビリを続け、2カ月後にはもとの生活に戻ることができました。  ケース2では、手術後しばらく安静が必要と言われ、2週間が経過するうちに筋力はすっかり落ちてしまいました。身の回りのことも不安を抱くようになり、介護保険サービスを受ける必要があると言われました。  これまで元気だったおばあさんですので、当然、要介護認定は受けておられませんでした。要介護認定が下りるまで1カ月間、さらに病院を移りながら入院を続けましたが、その間、筋力はさらに落ちて寝たきりに近い状態となっていました。これまでなかった認知症の症状も発症し始め、1カ月半前とは変わり果てた姿となりました。息子夫婦は自宅で見ることを望んでおりましたけれども、共稼ぎという事情もあり、断念しました。その後、介護療養病床へ移り、はや3年が経過いたしておりますが、現在では意思疎通は全くできません。  この2つは極端な例を比べたわけでありますけれども、ケース2は、県内の病院でも散見される決して珍しい例ではないと認識いたしております。  特別養護老人ホームの待機者がなかなか減らない。在宅介護については、本人も家族もそれを望んでいるにもかかわらず、なかなか進んでいかない。その大きな原因は、医療から介護に至るプロセスにあるのではないか。十分に在宅で対応可能であった方が、気づけば手遅れになる。本来必要でなかった介護需要がつくり出されているような面が否定できないのではないか。  そうした問題提起を込めまして、以下質問に入らせていただきます。  今ほど実例で申し上げましたとおり、漫然と入院を長期化させていくことは著しく高齢者の心身の能力を低下させます。漫然とした長期入院を防ぐためには、入院の当初から、リハビリ病院への転院の時期や退院時期を治療計画として、病院横断的にしっかりと定めておく地域連携クリティカルパスが有効であるとされております。  しかし、本県においては、脳卒中、大腿骨頸部骨折のクリティカルパス導入病院は9病院にとどまっております。本県における普及拡大の取り組みと現状における課題につきまして、飯田厚生部長にお尋ねいたします。
    73 飯田厚生部長 地域連携クリティカルパスにつきましては、脳卒中、がんなどの疾患ごとに診療に当たります複数の医療機関が、あらかじめ役割分担を定めて、急性期病院から回復期病院を経て早期に自宅に帰れますように、委員のケースですとケース1を目指しまして、診療計画を作成し、患者さん、また御家族と各医療機関が共有して活用するものでございます。現在は、脳卒中とがん、それから大腿骨頸部骨折の3疾患のパスが診療報酬の算定対象とされております。  本県におきましては、特に高齢者の方に多い大腿骨頸部骨折につきましては全県共通のパスが、また脳卒中につきましては、新川、富山、高岡、砺波のそれぞれの医療圏ごとにパスが作成されておりまして、東海北陸厚生局で調べたところでは、合わせて50の医療機関が診療報酬算定の届け出をされていると聞いているところでございます。  パスの普及には、急性期、回復期、維持期の病院や老人保健施設だけでなくて、開業医でございますとか訪問看護ステーション、在宅介護事業所等も含めた連携体制を構築することが重要でございまして、パスの記載内容や使用方法等につきましては、担当者同士が顔を合わせて議論をして、パス作成を通じて相互理解を深めることが必要であると考えております。  このため県では、高志リハビリテーション病院と6つの地域リハビリテーション広域支援センターによります研修会でございますとか、情報交換会の開催等を支援すること、それから各厚生センターが行っている普及啓発の取り組みなどを通じまして、関係者の連携の強化とパスの普及拡大に努めてきているところでございます。  今後とも、このような医療機関、介護保険事業所、市町村等と連携をしながら、地域連携クリティカルパスの普及とその活用の取り組みを積極的に支援してまいりたいと思っております。 74 永森委員 ありがとうございます。患者の理解を深めるためにも、大変有効な取り組みであろうと思っております。こうしたものが一層進んでいくように御尽力をいただければと思います。  さて、家族が突然転倒骨折し、あるいは脳卒中などで倒れ、病院に運び込まれた。そうした事態になった場合に、家族の動揺は相当なものであると思っております。恐らく治療方針等につきましても、ほとんど病院に言われるがまま、お医者さんにお任せします、となってしまうのではないかと思いますが、入院初期の対応が非常に重要だと思っております。後になって、どうしてあのとき早くリハビリを始めなかったのかと気がついても後の祭りということであります。  ベッドに安静に寝ていることは、一見患者にやさしい処置のように思われますが、著しい筋力の低下を招きます。廃用症候群というらしいです。また、一日じゅうベッドに横たわり白い天井を見て過ごしていれば、認知症のリスクも当然高まっていくと思っております。  こうした長期入院に潜むリスクや早期リハビリ開始の重要性につきまして、広く県民の皆様方に理解してもらうことが、非常に重要ではないかと思うわけですが、県としてどのように取り組んでいかれるのか、厚生部長にお伺いします。 75 飯田厚生部長 特に高齢の方につきましては、症状が軽度でございましても、入院などにより長期間にわたって活動が制限されますと、廃用症候群──いわゆる生活不活発病という言い方もされておりますが──それと認知症になりやすいということで、さらには寝たきりの状態などに至るとされているとも聞いております。  これを防止するためには、やはり急性期の治療と並行して、可能な限り早期のリハビリテーション、まさにケース1の方式が有効であるとされているところでございます。  公的病院等におきましては地域医療連携室を設置され、患者さんの適切な退院の促進に取り組んでおられますが、一部の患者さんや家族の中には、早期退院の意識が低く、入院治療の継続を望まれるケースもあると聞いているところでございます。  ただし、長期の入院につきましては、やはり生活機能の低下を生じさせるおそれがあることから、こうしたリスクについて広く県民の方々に理解していただく必要があるものと考えているところでございます。  このようなことから、県におきましては、6つの地域リハビリテーション広域支援センターによります家族等からの相談対応でございますとか、県民向けのリハビリフォーラムの開催、認知症疾患医療センターによります専門医療相談、市町村による地域の住民を対象とした生活機能低下や認知症に関します講演会の開催等に対する支援などに取り組んでいるところでございます。  県としましては、今後とも医師会、医療機関等と連携しながら、高齢の方々の長期入院等による生活機能低下のリスクなどに関する普及啓発に努めてまいりたいと思っております。 76 永森委員 よろしくお願いしたいと思います。  地域連携クリティカルパス、そして早期退院、早期リハビリの重要性について申し上げさせていただきましたが、実は肝心のリハビリの体制が弱ければ、絵にかいたもちと申しますか、このクリティカルパスそのものが描いていけないという状況であろうかと思っております。私は、病院から在宅医療、在宅介護への移行がなかなかスムーズに進んでいかない要因は、在宅医療基盤の弱さにもあると思います。リハビリなど病院から在宅へとつなぐ機能が弱いのではないかと考えております。  本県におきましては、残念ながら回復期リハビリのベッド数は全国的に見ても多くはなく、人口10万人当たり50床程度が望ましいとされているそうですが、本県では41.1床、また、医療圏ごとで見てみますと、高岡医療圏におきましては12.5床にとどまっております。  こうした地域偏在の是正も含めまして、回復期ケア、回復期病床の充実に今後どのように取り組んでいかれるのか、厚生部長にお伺いをいたします。 77 飯田厚生部長 回復期リハビリ病床でございますけれども、急性期の治療を終えられた脳卒中、大腿骨頸部骨折等の患者さんに対しまして、ADL(日常生活動作)能力の向上によります寝たきりの防止と在宅復帰を目的としましたリハビリを集中的に行う病棟として、診療報酬上届け出されている病床でございます。  本県におきましては、平成23年3月末現在で高志リハビリテーション病院を初め県内9病院から合計449床の届け出がされておりまして、先ほども委員から少しお話がありましたが、人口10万人当たりで見ますと41.2床となっており、全国平均が46.7床でございますので、これを下回っているという状況でございます。また、医療圏別で見てみますと、新川が65.3床、富山が48.8床、そして御指摘のように高岡が12.5床、砺波が58.0床ということで、この高岡医療圏が少ないという状況でございます。  こうしたことから、県ではリハビリ医療体制の強化を図りますために、高志リハビリテーション病院等の改築整備に取り組みますとともに、全国回復期リハビリテーション病棟連絡協議会が目標としている人口10万人当たり50床を目指して、平成25年度までに回復期リハビリ病床約100床の確保を図りたいと考えております。  このため、国の地域医療再生臨時特例交付金を活用しまして、平成24年度に新たに、一般病床あるいは療養病床から回復期リハビリ病床への転換に取り組まれる病院に対しまして支援をしたいと思っているところでございます。支援の対象となります病院の選定に当たりましては、委員も御指摘の各医療圏の状況にも配慮をさせていただきたいと考えておりまして、今後、高岡医療圏内の病院を一つのターゲットにして協議を行うこととしているところでございます。  県におきましては、県医師会、公的病院、市町村など関係機関と連携をしながら、この回復期のリハビリ病床の確保など、リハビリ医療体制の充実強化にも積極的に取り組んでまいりたいと思っております。 78 永森委員 ありがとうございます。地域医療再生計画におきましても、回復期リハビリ病床の確保事業を行っていただけるということであります。また、診療報酬上も回復期のリハビリテーション病床については追い風になっていると思っておりますので、ぜひとも回復期リハビリ病床の確保に努めていただきたいと思います。  続きまして、本県の医療体制についてであります。  本県の医療体制についてのデータを見ておりましたら、大変特徴的であるのが、療養病床の平均在院日数が全国的に見て極端に高くなっていることであります。全国平均が176.4日であるのに対し、本県では277.2日となっており、断トツの全国第1位の長さであります。この要因をどのように分析しておられるのか、お考えをお聞かせいただければと思います。 79 飯田厚生部長 平成22年度の数字で見てみますと、本県の療養病床の平均在院日数につきましては、平成15年の317.1日から、まさに277.2日ということで、これでも7年間で約40日間短くなっております。  この短くなった要因ですが、平成18年に療養病床に係る診療報酬が見直されたことなどによります減少でございますとか、医療費の適正化計画に基づく療養病床から介護老人保健施設等への転換の取り組み、また在宅医療、訪問看護の推進など、関係者によるさまざまな取り組みによるものでございます。  40日間短くなっているとはいっても、依然として全国で最も高い状況に変わりはないのでございまして、このように療養病床の平均在院日数が長い要因につきましては、いろいろと研究、勉強もしてみたのですが、一概に説明することは難しいと考えております。  しかし、要因としましては、1つには、人口10万人当たりの療養病床数が全国平均と比べて多いことから、医療機関で受け入れる慢性期の入院患者もおのずと多くなること、また、慢性期の入院患者一人一人に対します退院に向けてのきめ細かな対応が、これまでは十分ではなかったこと、さらに、在宅医療、訪問看護など、退院後の受け皿でございますが、必ずしも十分に整備されてこなかったこと、このようなことが主な要因ではないかと考えているところでございます。 80 永森委員 ありがとうございます。なかなか一概に分析もできないということであったかと思います。慢性期の患者への対応が十分ではなかったのではないかというお話もありましたけれども、一般病床からは患者さんが早く出ていけということで、どんどん出されていく。その後、病院を転々とするのですが、最終的に行き場をなくした患者さんたちが、いわゆる社会的入院という形で入院しているケースも多いのではないかと思っております。  私は、県職員在職時代に高齢福祉課で勤務いたしておりまして、いつも飯田厚生部長には的確で温かい御指導を賜っていたところでありますけれども、そうしたこともありまして、県内の療養病床について回らせていただく機会も多く得ることができました。また、私は、祖母を療養病床で亡くしていることもありまして、この療養病床の状況については、よく見てきたつもりでおります。  全部が全部そうだとは言いませんけれども、食事を口からとれずに胃ろうとなっており、寝たきりで家族との意思疎通は全くできない状態で、ただただ毎日を過ごす、そうした患者さんがたくさんおられるわけでありまして、本当に見ていますと胸が苦しくなるといいますか、そういう状況であります。  部長の御答弁にもありましたとおり、本県は療養病床の数が全国的にも多いわけであります。この恵まれた医療資源といいますか、そうした医療の環境をもっと高齢者の幸せのために生かしていけないものかと考えるわけであります。  療養病床には、リハビリを含めて病院から在宅への橋渡しであるとか、あるいは在宅医療の後方支援的な役割を期待したいと思うわけですけれども、現実には、医療療養病床におけるリハビリの病床数は3,072床中140床で4.6%、全国の同数字は13.2%であることと比較すると、県内の療養病床においては、リハビリを含め、この在宅へつないでいく機能が非常に低くなっていると思わざるを得ないわけであります。  今後、県としては、療養病床に対してどのような役割を期待していかれるのか、厚生部長に御答弁をお願いします。 81 飯田厚生部長 療養病床でございますけれども、委員の専門分野での話かと思いますが、主として慢性疾患を抱えておられる高齢者の方など、症状は安定されておられますが長期の療養を必要とされる患者さんが入院されるための施設でございまして、1つは医療保険適用の医療療養病床と、もう1つは介護保険適用の介護療養病床の2つに分かれているところでございます。そして本県の病床数でございますが、これは平成24年3月1日現在で合計5,323床となっているところでございます。  委員からも御指摘がございましたが、本県の療養病床の平均在院日数は他県に比べて長いこと、それから、医療療養病床に占める回復期リハビリ病床の割合が全国平均をかなり下回っていることから見ますと、本県の療養病床においては、入院患者の早期の在宅復帰に向けた取り組みでございますとか、在宅医療との連携等が弱いことなど、課題があるものと考えております。  それで、御質問の療養病床に期待する役割でございますが、1つには、リハビリテーション機能を強化していただいて、患者さんの在宅復帰を支援していただくこと、2つ目には、在宅の療養者に対する緊急時の受け入れ先となっていただくこと、3つ目には、在宅での対応が困難な、例えば終末期の患者さんの対応を行っていただくことなどを挙げることができるものと考えております。  このようなことから、県では平成22年度から、療養病床を有しておられる病院におきまして医療系ショートステイ病床を確保いたしますとともに、この平成24年度から新たに回復期リハビリ病床への転換に取り組む病院に対して支援を行うこととしているところでございます。  今後とも県としましては、この療養病床も活用しながら、在宅医療の推進に対するさまざまな取り組みを積極的に進めてまいりたいと考えております。 82 永森委員 ありがとうございました。病院を経営しておられるのは民間でございますので、経営等も絡んでまいりますことから、なかなか難しい面もあろうかと思いますが、県には今後とも指導力の発揮をお願いしたいと思っております。  続きまして、高齢者の医療費につきましてお尋ねをさせていただきたいと思います。  高齢者医療費につきましては、都道府県によって大変な格差がありまして驚きます。例えば平成21年で見ますと、高齢者1人当たりで、最も低い新潟県は約72万円で、最も高い福岡県は111万円となっており、その差は39万円もあります。富山県は約82万円で、全国平均に比べるとやや低く抑えられているわけですが、それでも新潟県と比べると10万円の差があります。  10万円違うとどうなるかといいますと、本県の後期高齢者の数は15万人ぐらいですから、単純計算で10万円掛ける15万人で、150億円余計に新潟県より高齢者医療費がかかっていることになります。このうち県の負担分は原則およそ12分の1ですから、単純に12億5,000万円となり、本県は高水準の負担をしていることになります。  新潟県とは医療水準も違うと思いますので、必ずしも比較は適切ではないかもしれませんが、この医療費の県負担金については、お金が地方交付税により国から来ているということでありまして、各県は、案外この格差に対して無頓着な感じもするわけです。しかしながら、地方交付税に占める臨時財政対策債の割合は高く、今後とも高齢者医療費がかさんでいけば、気がつけば借金地獄になっているという事態も想像できるわけであります。  医療費の水準については、病床数を初めとして医療の供給体制による部分も大きいわけでありまして、県の責任も軽くはないと思います。医療費の適正化を進めるためにも、各県のこの医療費の格差について十分研究していくことが必要ではないかと思いますけれども、飯田厚生部長の御所見をお伺いいたします。 83 飯田厚生部長 委員からも御指摘のとおり、これは平成21年度の75歳以上の高齢者の方1人当たり医療費ですが、一番高いのが福岡県の約111万円で、一番低いのが新潟県の約72万円と、本当に県によって大きな差があります。本県は約82万円で、全国平均が約88万円となっていますので全国平均よりも低いのですが、やはり新潟県と比べると10万円高いという状況でございます。  医療費の内訳につきまして新潟県と比較しますと、1人当たりの入院医療費につきましては、富山県の44万5,000円に対しまして新潟県が34万円と、この部分で本県が約10万円高くなっており、入院以外の医療費につきましてはほとんど差がないという状況でございます。  この入院医療費が高い理由についてでございますが、1人当たり高額医療費を見ますと、富山県が新潟県の約1.4倍となっていること、それから、本県の人口10万人当たりの療養病床数が新潟県の2.2倍以上であるとともに、この療養病床における平均在院日数が新潟県の約1.4倍となっていること、この辺が主な要因ではないかと考えているところでございます。  平成24年度におきましては第2期医療費適正化計画を策定することとしておりますが、この計画を策定するに当たりましては、委員からも言われたように、他県の取り組み状況等についても調査分析を行いながら、療養病床の回復期リハビリ病床等への円滑な転換、それから地域連携クリティカルパスの普及による在宅医療へのスムーズな移行、さらに退院後の受け皿となります在宅医療、訪問看護の推進などについても十分配慮いたしますとともに、関係者の御意見等もお聞きしながら計画の策定を進めてまいりたいと考えております。 84 永森委員 ありがとうございました。私も医療費につきましては、必ずしも削ればいいというものではないと思いますけれども、医療費を適正に保ちながらも高齢者の医療の満足度を上げる取り組みは、工夫次第では可能ではないかという思いもありまして質問させていただきました。部長、どうもありがとうございました。  この問題の最後に、石井知事に伺います。  現在、国では、病床の役割分担を進める観点から、一般病床や療養病床といった病床区分の抜本的な見直しを進めておられます。医療を要する高齢者が今後とも爆発的に増加していく中で、急性期を担う病院の医療の密度をしっかりと高めて、早期退院を促していく。そして、そこからスムーズに患者を在宅介護に戻していく。そうした医療資源、医療人材の効率的な活用、あるいは社会的入院を初めとした高齢者の最期の大切な時間を台なしにしてしまうような医療供給体制の質の改善が求められると思っております。  本県においては、とりわけ病床数が多く、そして入院医療への依存度が高いわけでありまして、現在、国で検討しているような医療供給体制の抜本的な転換については困難をきわめるのではないかと想像しますが、適正な病床数や病床の役割分担を見直しつつ、急性期、回復期から在宅復帰や介護への移行を円滑に進めていただいて、患者側の目線に立った切れ目のない医療、介護の供給体制を計画的につくり上げていただきたいと思うわけです。石井知事の御所見をお伺いいたします。 85 石井知事 今ほど委員からいろいろお話がありましたけれども、御指摘のとおり、疾病等によって医療や介護が必要になった高齢者の方々が、急性期の医療を終えた後もなるべく早く在宅復帰して、引き続き適切な医療や介護が受けられるように、回復期リハビリテーション病床などの医療機関の充実強化、また、医療・介護従事者等が連携強化を図って、在宅での療養や介護を支える各種のサービスを適切に提供できる体制をつくっていくことが大事だと思っております。  そこで、今もお話に出ましたが県としましては、幸い在宅医療に熱心に取り組んでくださる開業医のグループもいらっしゃいますので、こうした方々を支援する、また、訪問看護の普及と機能強化をする、また、在宅医療にかかわる多くの職種間の連携を強化する、また、緊急時のための医療系ショートステイ病床を確保することなどに努めております。  平成24年度には、御承知かと思いますが、国も普及させようとしております定期巡回・随時対応型訪問介護看護という新しいサービスに取り組んでいきたいと思います。  それから、県立高志リハビリテーション病院を改築整備することにしておりまして、現在、基本計画を策定中ですが、県全体のリハビリテーション医療水準の底上げと地域リハビリテーションの推進に努めてまいりたいと思います。  また、お話にありましたが、適正な病床数と病床の役割の整理については、ちょうど今、国において社会保障と税の一体改革の議論の中で検討されているところでありまして、具体的には、急性期への医療資源の集中投入や、それから亜急性期、慢性期医療の機能強化、それから在宅医療を担う診療所の機能強化や訪問看護の計画的整備、また、地域包括ケア体制の整備やケアマネジメント機能の強化などが取り組みの方向性として示されております。また、ことしじゅうに、医療、介護の基盤整備のための一括的な法整備もされると伺っております。  こうした、今、国で議論されている方向は、この数年来、富山県としても目指そうとしてきた方向であります。いろいろ課題も多いのですが、高齢者に対する医療と介護の連携体制の構築のために、今年度つくります富山県高齢者保健福祉計画において、地域包括ケア体制の実現を目指すこととしており、在宅復帰に向けた施設ケアの充実等の施策を盛り込むことにしております。  また、平成24年度に富山県医療計画も改訂を予定しておりますが、今の委員の御指摘も踏まえ、また、国でも今まさにそういう議論をしておりますので、医療と介護の連携体制の構築にしっかり取り組んでいきたいと思います。 86 永森委員 ありがとうございました。どうぞよろしくお願いいたします。続きまして県民所得と本県産業について、お尋ねをさせていただきます。  先月末でありますが、内閣府は、平成21年の各県の県民経済計算の結果を取りまとめ、1人当たりの県民所得を公表しました。この結果を見まして、私は正直、大変なショックを受けました。  本県は、1人当たり263万8,000円ということで、平成20年比では33万9,000円の下落で、下落率は11.4%。下落幅は全国第1位でありました。富山県といえば経済的に大変豊かな県として認知され、過去5年ほどで見れば、昨年は8位でありましたが、本県の県民所得は常にトップ10入りをしておりました。大都市圏に次ぐポジションを得てきたわけですけれども、今回の結果では全国順位は一気に17位まで落とし、その水準は全国平均を下回る結果となりました。  リーマンショックの影響により、全国的に軒並み前年比マイナスという傾向でありましたけれども、本県がこれほどまで大きな影響を受けた要因をどのように分析しておられるのでしょうか。また、この結果の対象であります平成21年からは随分と時間が経過しておりますが、その後の傾向はどうなっているのでしょうか。一過性のものであったと願いたいわけでありますけれども、荒木商工労働部長の御所見を伺います。 87 荒木商工労働部長 平成21年度の国民所得は339兆2,234億円で、国でも対前年度比で3.6%の減少となりました。本県の場合につきましては、今、委員から御紹介がありましたように、1人当たりの県民所得が263万8,000円で、対前年比11.4%の減少で、全国17位でございました。  その要因といたしましては、1つには、リーマンショックの影響で本県の主力産業であります製造業、特に電気機械、化学、一次金属、一般機械などで生産額が大きく減少していることであります。また2点目には、これは特殊要因かと思いますが、平成20年度末に石油製品の事業所におきまして石油精製業務の廃止があったことが大きく影響しているものと考えております。  その後の状況についてでございますが、県民所得は県民雇用者報酬、財産所得、それと企業所得の合計額となっておりますけれども、それに関連する指標を見てみますと、工業統計調査の製造品出荷額では、平成21年の2兆8,682億円から平成22年には3兆2,233億円に、対前年比で12.4%増と大きく回復いたしております。また、鉱工業生産指数につきましても、平成21年の74.7から平成23年には90.9と大幅に上昇いたしております。また、名目賃金指数につきましても、平成21年の90.8から平成22年には91.6と上昇いたしております。  こうしたことから、県民所得につきましては持ち直しの動きになっていると考えております。 88 永森委員 ありがとうございました。大変、希望の持てる答弁をいただきまして安心いたしました。  しかしながら、デフレや円高不況という状況の中で、経済情勢は厳しさを増しております。そうした中で、伏木富山港の日本海側総合的拠点港の選定は、県民に夢と希望を与える明るいニュースだったと思います。  本県の場合は、他の拠点港と比較した場合に、日本三大都市圏のうち中京圏や関西圏に対し圧倒的な優位性を有しているわけであります。これらの経済力を取り込みながら、中国の東北地方、あるいは、本年APECも開催されます極東ロシア、さらに、その先にある中央アジア諸国や欧州等を結ぶ物流拠点としていくことが、本県の経済成長にも重要ではないかと思います。  今後とも官民の投資を積極的に促していただいて、物流産業を富山県の一大産業としていくべきと考えますが、拠点港選定に伴い期待しておられる今後の経済効果とその課題につきまして、商工労働部長にお伺いいたします。 89 荒木商工労働部長 伏木富山港の物流の活性化による経済効果といたしましては、中国、ロシアなどの対岸諸国との利便性が向上することによりまして、県内企業の海外取引の拡大や立地環境の向上などが図られることに加えまして、中京・関西圏等から広く集荷が促進されることにより物流サービスの向上なども期待されるところでございます。これらを具体化するため、今回の総合的拠点港の選定を本県の産業施策にしっかりと連動させていきたいと考えております。  一方で課題でございますが、太平洋側の航路との海上運賃の格差や、寄港頻度が少ないことによりまして短い納期のものに対応できないという課題も指摘されております。貨物を新たにつくり出すことや集荷を促進することとあわせまして、航路の拡充を車の両輪としてとらえて、物流活性化の取り組みを加速させなければならないと考えております。  このため、昨年の秋に伏木富山港新物流ルート開拓研究会を立ち上げまして、貨物を生み出す創貨、貨物を集める集荷、そして航路の拡充の観点から具体的な施策展開について議論をいただきまして、昨日、報告書を知事に提出していただいたところでございます。  これらの内容を踏まえまして新年度におきましては、岐阜県や長野県での商談会の開催や物流業務施設の誘致の強化、また、中京・関西経済圏など他の港からのシフト貨物などに対します荷主企業奨励金の拡充、また、海外や県内外でのポートセールス活動の強化、また直行、多頻度、定時の航路開拓を目指すためのロシア極東向けRORO船の定期運航の実験、また、上海港を経由しました東南アジア向け貨物の輸送安定化実験などに取り組むこととしております。  これらの取り組みを通じまして、日本海側の物流拠点として伏木富山港の利便性、拠点性を一層高め、本県産業の活性化につなげていきたいと考えております。 90 永森委員 ありがとうございました。よろしくお願いいたします。  次に、次世代化石燃料といわれるメタンハイドレートにつきまして、お尋ねをいたします  御存じのとおり、メタンハイドレートは燃える氷と言われ、天然ガスの主成分であるメタンが、深海において低温、高圧のもとで存在しているもので、石油、天然ガスに続く次世代の化石燃料と言われております。メタンハイドレートが日本の近海に大量に埋蔵されていることが確認されており、一説には、その埋蔵量は日本で消費される天然ガスの96年分とも推計がなされているそうであります。  もちろん課題も多いようでありますけれども、経済産業省におきましては多額の予算を投じて、先月、愛知県渥美半島沖において海底での採掘に向けた作業が始められております。このメタンハイドレートは、富山湾から上越沖にかけても埋蔵されていることが既に確認されており、現在、策定中の県の総合計画の夢構想におきましても、その可能性が紹介されております。  しかしながら、もはや夢の段階は一段超えているのではないかと思っておりまして、またしても太平洋側で先行的に研究が進むということで、また太平洋側に持っていかれそうな予感が漂っております。  新潟県等とも連携しながら、日本海側においても調査研究を進めるよう国に働きかけるとともに、商社や研究機関等とも情報交換を行っていく必要があるのではないかと思いますが、商工労働部長の御所見をお伺いします。 91 荒木商工労働部長 メタンハイドレートにつきましては、日本海周辺の海底に相当量存在することが見込まれております。ただ、生産、回収のための技術が確立されていないことから、国におきましては、本年2月、愛知県渥美半島沖で世界初の海洋での産出試験が開始されたということで、まだまだこれから技術開発が期待されるという状況でございます。  日本海側につきましては、富山湾も一部含む海域でありますけれども、佐渡島の西方沖から上越沖の海域で、メタンハイドレート層を示唆する特長が認められるという状況です。まだ掘削調査など詳細な調査は実施されていないことから、現在は基礎データの解析の段階でございまして、資源エネルギー庁では、現時点では確実にあるとは言えないとの見解でございます。  メタンハイドレートは、将来の天然ガス資源として注目されておりますことから、県といたしましては、佐渡沖における賦存量の調査状況等につきまして、経済産業省や実際に調査を進めておられます独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構や独立行政法人産業技術総合研究所などからの情報収集に努めますとともに、メタンハイドレートの開発には、生産技術の実証、採掘による地層の変化や海洋生態系など環境への影響、商業化に向けた技術の整備などの課題があることから、愛知県沖での海洋産出試験の動向なども十分に見きわめていきたいと考えております。引き続き勉強してまいりたいと考えております。 92 永森委員 ありがとうございました。現時点ではそういう慎重な答弁にならざるを得ないと思いますけれども、資源のあるところには、人、お金が集まることは歴史が証明していると思います。先ほど、新潟県と連携して、と言いましたけれども、新潟県に負けないように、おくれをとることのないようにと期待をして、質問をさせていただきました。  最後に知事に伺います。  富山県といえばものづくり県、ものづくり県といえば富山県と言われるほどの地位を築いているわけでありまして、先人たちの御努力に対して尊敬をし、大変誇りを感じております。しかしながら、円高等の影響もありまして、今後も製造拠点の海外移転が一層進んでいくものと考えております。  こうした危惧の中で、今定例会における当局の御答弁の中では、絶えざるイノベーションの重要性を説いておられます。しかしながら、高い付加価値を生み出せる製造拠点は残ったとしても、本当に今後とも本県の経済力や雇用を守り続けていくことができるのか。そうした問いかけを、私は今回の県民所得の下落の結果を見て感じたわけであります。  今ほどは、物流拠点、メタンハイドレートといったお話をさせていただきました。これは一例でありますけれども、これまで積み上げてきたものづくりの伝統に加えまして、産業においても何か新しい機軸を生み出していくような産業施策も必要ではないかと思いますし、今、県の産業施策にこそイノベーションが求められていると思うわけですが、石井知事の御所見をお伺いいたします。 93 石井知事 お話がありましたように、少し緩和されましたけれども、まだまだ円高が続いている中でありますので、こうした中で本県のものづくり産業を、これからもしっかり持続させるためには、当然、今お話に出た、絶えざるイノベーションが大事であり、同時に販路についても、海外の販路開拓を含めて積極的に行っていかなければならないと思っております。  あわせて、観光振興やブランドの確立、また地域を支える商業、サービス業の振興、こういったことで産業全体の高付加価値化を進める。また、そうしたことを支えるために、今、陸海空の社会資本整備を積極的に整備しつつあるわけですが、そうしたものと産業振興をうまくかみ合わせていかなければいけないと思っております。  本格的な環日本海、アジアの時代の到来ということでありますので、国内だけではなくて、あるいは県内だけではなくて、海外における生産の増加を含めて、トータルとして県民の皆さんの所得をどう増大させていくかという観点も大事でありまして、そうした複眼的といいますか、戦略的に本県産業の発展を図っていきたいと思っております。  今定例会でも、いろいろ議論がありましたが、製造業のイノベーション振興という意味では、昨年4月にオープンしたものづくり研究開発センターは、当初私が思っていた以上に非常に機能し始めていると思いますので、これをさらに機能強化して研究開発を促進する。また、かねてからやっておりました、ほくりく健康創造クラスター事業も、たくさんの国際特許も出てきておりますので、これを事業化の段階に進めていく。  また、ERATOですね。県立大学の浅野先生の酵素活性化分子プロジェクトも、日本を代表する研究だということで指定いただいたわけですが、こうしたことも大いに積極的に取り組んで、新しい製品、新しい技術開発、そうしたことにつながるイノベーションを生み出す。  また、例えば医薬品産業については、富山県は日本の中でもトップクラスで、いずれ国内で1番になるのではないかと思っているのですが、医薬工連携の分野、医療機械の分野では、実は不思議なことに全国でも地位がかなり低いわけです。これだけのものづくり企業と医薬品産業がありながら情けないということで、これも一昨年来、準備していますけれども、医薬工連携の推進を図っていきたい。また、航空機とか次世代自動車といったことも、新しい成長分野ですから進めていきたいと思います。
     また今年度の予算では、とやまものづくりパークということを打ち出しておりますけれども、もちろん県内にしっかりした製造拠点、あるいはマザー工場、研究開発拠点を残してもらいたいのですが、当該企業の存続のためにも、県内で守りにだけ入っていると企業自体が危なくなるというケースもありますので、むしろ県内をしっかり守るためにも、業種や企業によっては台湾や東南アジア、インドなどに経済進出もしていただいて、そうした国々の成長エネルギーをうまく取り込んで、ともに発展していくという戦略をとっていこうと思っております。  観光振興については、いよいよ3年後に新幹線開業ということですから、これまでも大都市圏に向けた戦略的な観光PRを、山手線とかいろいろなところでやってきまして、富山県の認知度も高まってきているように思いますので、あと3年ですから、いよいよ第4コーナーを回ったということで一段と拍車をかけて、新しい旅行商品の企画造成とか、とやまブランドの確立なども図っていきたい。  それから、何度か議論がありました外航クルーズも、率直に言って、これまで伏木富山港のクルーズの面での評価はあまり高くなかったわけですが、小樽港、舞鶴港とも連携できたこともありますが、今回、国で審査をしてもらい、まさにトップの評価を受けて指定してもらいましたから、海外からの観光客の誘致に積極的に取り組んでいきたい。また、北京便、台北便もできたので、将来はスカイ・アンド・クルーズも行っていきたいと思っております。  また、商業、サービス業については、中心市街地活性化法の指定を受けて富山市と高岡市で取り組んでいただいておりますが、あまり注目はされていませんけれども、市街地再開発について、全国でも珍しいぐらい手厚い県単補助をしておりますし、中心市街地や商店街の活性化、にぎわいのあるまちづくり、水辺を生かしたまちづくり、歴史と文化のまちづくり、こういったことも行います。それから、いまだに中心商店街でもネットビジネスへの参入がおくれているケースもありますから、こうしたことも積極的に支援したいと思います。  また、結局は人づくりということもありますので、U・Iターンを大いに進めたり、大分実績も出てきましたが、とやま起業未来塾の取り組みを進めていく。昨年から観光でも、とやま観光未来創造塾も始めました。  今、メタンハイドレートの話も出ましたけれども、できるだけアンテナを高くしながら富山県経済が大いに発展しますように頑張ってまいりたいと思います。 94 永森委員 ありがとうございました。  並行在来線につきましてお尋ねをしたいと思います。  並行在来線の新駅につきましては、高岡-西高岡間、富山-東富山間において採算性が見込めそうだということでありますけれども、その他の箇所については、今定例会の当局の御答弁によりますと、需要増をもたらす新しい要素が加わらない限りは難しいということで、もっと深読みすれば、この2駅以外には県としては必要ない、とも聞こえてくるわけでありまして、非常に残念な答弁だと受けとめております。もう少し市町村に対して前向きなメッセージを発信していただきたかったと思うわけであります。  はしごを半分外された格好になっておりますが、私の地元、射水市においても、新駅設置可能性を検討する調査費を平成24年度の予算案に計上しております。この調査を実りあるものにするためにも、新駅を設置するかしないかの客観的な基準を明確にしていただきたいと思います。  新駅設置ガイドラインでは、駅勢圏人口5,000人、乗車人口500人が一つの目安となっておりました。この考えに変わりはないのでしょうか。  また、採算性と言われるのは、ランニングコストと増加する運賃収入との収支と思いますけれども、ランニングコストは、有人駅とするか無人駅とするか、あるいは駅舎規模等によっても異なってくるのではないかと思いますけれども、そうしたことを含めまして、採算性基準について知事政策局長の答弁を求めます。 95 吉田知事政策局長 今年度、実施中の新駅設置可能性調査におきましては、平成18年度に実施しました調査で取り上げた7つの新駅設置検討箇所の需要予測につきまして、最新のデータをもとに再試算をしているところでございます。  調査はまだ途中段階でありまして、結果を明確に申し上げられる状況にはございませんが、採算性につきましては、厳しい収支が見込まれる三セク会社に新駅設置にかかる負担を負わせるのは適切ではないため、新駅の整備費は行政負担とすることを前提としております。その上で、中長期的に新駅における運賃収入で駅の維持管理費用が賄えるかという点から、採算性を判断するものでございます。  この中で、収入面におきましては、駅から半径2キロメートルの駅勢圏人口と乗車習慣等から乗車人員を算出した上で、予測される乗車区間を勘案して運賃収入を試算し、費用面におきましては、人件費、駅舎の光熱水費等の業務費や保守管理費、固定資産税などの経費を見込むこととしております。  なお、試算の前提といたしまして、駅の管理体制につきましては、利用者の利便性と安全性を確保する観点から有人駅と仮定し、また駅舎の規模につきましては、乗降人員に見合った必要最小限のコンパクトな規模のものを想定することとしております。 96 井村副委員長 永森委員、持ち時間が少なくなっております。簡潔にお願いします。 97 永森委員 今、有人駅を前提ということでありましたけれども、無人駅を含めて新駅のいろいろな可能性を探っていただくことを要望させていただきます。  最後に、予算編成の透明化についてお尋ねいたします。  予算編成の透明化につきましては、私もいろいろ調べてみましたら幾つかの県で取り組んでおられますが、鳥取県では、各部局の予算要求の段階から、予算要求の状況、事業効果、その後の査定の状況などをタイムリーにホームページにアップする取り組みがなされております。県民から預かった税金の使い道を決めていく過程でありますので、県民に知ってもらうための努力は最大限に行っていただきたいと思うわけでありますし、各種事業について県民の理解を促していく意味でも非常に重要な取り組みであると思います。  本県でも、予算編成の透明化に取り組んでいかれるおつもりはないか、出口経営管理部長にお尋ねをいたします。 98 出口経営管理部長 本県の予算編成過程でございますけれども、11月の上中旬ごろに各部局に予算要求基準、いわゆるシーリングを示しまして、12月には財政課長査定を、1月から2月上旬にかけまして、私、経営管理部長の調整や知事査定を順次実施いたしまして、短期間で予算案を取りまとめているところであります。  この編成過程の最中に、国の予算案や地方財政対策が決定されることになっておりまして、時には歳入の枠組みが想定していたものと大きく異なるといったこともありますので、編成作業の終盤まで重要な事業の決定がずれ込むことも実際にございます。  このように短期的に大量の案件を処理し、日々検討状況が変わる中で、仮に過程を公開したとしましても、その時点での検討状況に基づいて、例えば県民の皆さんから御意見をいただいて、その結果を予算案に反映していくということは現実的には難しいのではないかと思っております。  この短期間の予算編成過程は、大変関心の深い行為ではございますけれども、県政全体を見ますと政策決定過程の一部でございます。県民の皆さんの御意見を反映した予算の編成というのは、この県議会での御議論はもとより、予算編成作業に先立って行われるタウンミーティングや審議会、また総合計画の策定に始まる政策評価などを通じて、幅広く県民の皆さんの御意見を伺うところから始まっておりまして、より県民のニーズに即した予算とするためには、このような機会を数多く設けることが重要であると考えております。  また、予算案の内容、主要な施策についてしっかりと説明し、予算編成の意図や予算案の内容を伝えていくことは重要であると考えておりますが、その際には、意思形成過程の情報よりも、むしろ実際の予算の説明に力点を置くべきと考えておりますことから、各種説明資料をホームページに掲載するなど、周知に努めているところでございます。  今後とも県民の皆さんの御意見を的確に把握して、富山県の未来に希望を持っていただけるような予算となるように努めてまいりたいと考えております。 99 井村副委員長 永森委員の質疑は以上をもって終わりました。        渡辺守人委員の質疑及び答弁 100 井村副委員長 渡辺委員。あなたの持ち時間は60分であります。 101 渡辺委員 それでは、ただいまから通告に従いまして、順次、質問をさせていただきます。  2月定例会でございますので、最初に行財政改革についてお尋ねをいたします。  石井知事におかれましては、大変な厳しい財政環境の中、めり張りと気配りの行き届いた経営者顔負けの新年度当初予算を編成され、心より敬意を表したいと存じます。そこで、元気とやまの創造に向けた平成24年度予算案につきまして、大変御苦労があったかと思いますけれども、それらをとらえまして質問させていただきます。  最初に公債費負担についてお尋ねをいたします。  ちょうど私が平成15年に議員になりましたとき、県債の残高は9,514億7,700万円、その後、毎年増えておりまして、平成19年には何と1兆円を突破いたしました。このまま行きますと平成24年度末には1兆2,200億円の残高となりますが、今後、中長期の県債残高の推移についてどのように見通しておられるのか、出口経営管理部長にお尋ねをいたします。 102 出口経営管理部長 平成24年度末の県債残高は約1兆2,200億円と見込んでおりまして、平成23年度末の1兆1,862億円に比べまして、約338億円の増となります。これは、近年、地方交付税の代替財源であります臨時財政対策債の発行が大幅に増加していることですとか、新幹線整備がピークを迎え負担金が増加していることなどが要因として考えられます。  ただし、臨時財政対策債は本来、地方交付税として交付されるべきものでございまして、その元利償還金の全額が後年度に交付税によって措置されることとなっております。  県債残高の増加は、義務的な経費であります公債費の増加を招き財政の硬直化につながりますので、これまでも投資的事業の財源とする県債の発行は抑制するように努めてまいりました。その結果、臨時財政対策債などの特例債を除いた通常債の残高につきましては、ピーク時の平成13年度末の約8,623億円から、平成24年度末には8,178億円まで約450億円減少する見込みとなっており、さらに新幹線整備事業債を除きますと、平成13年度末の約8,500億円から約1,800億円減少する見込みとなっております。  今後の県債発行につきましては、臨時財政対策債の起債額によって大きな変動がありますので、なかなか確定的なことは申し上げられないところでございますけれども、仮に臨時財政対策債の発行が現在の水準で継続いたしますと、県債残高は当面増加することになります。  一方、新幹線整備事業債も含め通常債の残高につきましては、今後、新幹線整備の完了に伴いまして減少していくと見込んでいるところであります。 103 渡辺委員 きょうの新聞にも「抑制は臨時財政対策債次第」と書いてありますし、今ほど部長からもいろいろとございまして、よく理解はできます。ただ、国は借金だらけの予算を組んでおりますので、今後は非常に厳しいものがあるのではないかと思っております。  そこで、次の質問に入りますけれども、平成18年度から始まりました地方債協議制度では、3カ年平均の実質公債費比率が18%以上となった地方公共団体については、平成23年度地方債同意等基準の規定に基づき、地方債の発行に際し、公債費負担適正化計画を策定することとなっております。本県では平成22年度決算において、その比率が18.2%となったことから同計画を策定されましたが、公債費負担の適正化について、今後どのように取り組んでいかれるのか、出口経営管理部長にお尋ねをいたします。 104 出口経営管理部長 昨年9月に策定いたしました公債費負担適正化計画におきましては、公債費比率を適正に管理していくために、今後の地方債発行に係る基本方針といたしまして、「臨時財政対策債や臨時的な財政需要に関するものを除き平成23年度当初予算の水準を上回らないものとし、引き続き発行の抑制を図る」としたところでございます。  平成24年度当初予算における起債の発行額は約1,035億円でございまして、平成23年度当初予算に比べますと約27億円の減となっております。また、臨時財政対策債や臨時的な財政需要を除いた起債につきましては、平成23年度当初予算に比べまして約34億円の減となる594億円となっておりまして、この計画における基本方針に沿った内容となっているところでございます。  今後とも公債費負担適正化計画を踏まえまして、県の財政運営を持続可能なものとするため、国に対しては地方税財政制度の改革を働きかけますとともに、定員の適正化や事務事業の見直しなど、行財政改革を引き続き推進するほか、県債の新規発行を抑制するなど、公債費の適正な管理に努めてまいりたいと考えております。 105 渡辺委員 はい、よくわかりました。  富山県は、平成17年度から行財政改革に非常に精力的に取り組んでこられました。これは非常に評価をいたしております。私も過去に随分と行財政改革の質問をさせていただいたわけですが、人件費の縮減、人員の削減等も計画的に行っておりますので、これはこれで今後も一生懸命頑張っていただきたいと思います。  そこで、それ以外のものでございますけれども、外郭団体の改革・廃止等による見直しや、指定管理者制度の導入に伴う経費の縮減効果はどのようになっているのか、出口経営管理部長にお尋ねをいたします。 106 出口経営管理部長 先ほど御紹介がありましたように、県では平成17年度を財政再建元年と位置づけまして、行政改革推進会議や行政改革委員会の御提言を踏まえながら、行政改革に積極的に取り組んでまいりました。  外郭団体の見直しにつきましては、行政改革推進会議から廃止すべきと提言を受けました立山山麓レクリエーション開発、福祉事業団、いきいき長寿財団、住宅供給公社及び土地開発公社の5つの団体を廃止するほか、木材管理センター及び今年度末に廃止する高等教育振興財団、公営企業振興団の3団体を含めまして、合計8団体を廃止いたしました。  また、その他の外郭団体につきましても、経営改善や事業の見直しなどに取り組んでいるところでございまして、平成24年度の外郭団体に対する県からの支出額は、平成17年度と比較いたしまして約8億8,000万円の節減となっております。  次に、指定管理者制度につきましては、平成18年度より県の設置する公の施設のうち、個別法によって制度の対象となっていない学校、道路、河川などを除いた施設を基本に導入を進めておりまして、来年度から新たに伏木富山港の新湊地区多目的国際ターミナル、富山中央駐車場などを対象施設に加え、その施設数は62施設となります。  指定管理者制度の導入によりまして、申請者が創意工夫を凝らした提案で競い合うことで、県民サービスの向上や経費の節減が図られており、これら62施設の平成24年度の管理経費の合計額は、制度の導入以前と比べて約16億8,000万円の節減となっているところであります。 107 渡辺委員 次に本県におけるPFIや市場化テストの導入状況と、意外に進まない理由をどのように考えておられるのか、出口経営管理部長にお尋ねをいたします。 108 出口経営管理部長 PFI事業は、民間の資金、経営能力、技術的能力を活用いたしまして、公共施設の建設や維持管理、運営などを行うものでございますが、PFI事業を実施した地方自治体の数は、全国的に見ても約1割程度にとどまっております。  これは、PFI法に基づく事務手続が煩雑で、実施方針の策定から契約までに約1年から2年を要するなど、通常の入札であれば2カ月程度で済みますので、これと比較して相当な時間を要すること、また、外部アドバイザーの委託が必要となるなど、導入コストが高くつくといった理由によるものと考えております。  本県でも、大規模施設の整備に当たっては、PFIによる整備の検討を行ってまいりました。例えば、富山県広域消防防災センターの場合には、直営とPFI導入の場合の公共負担額の比較を行いましたが、その結果、PFIを導入した場合が不利となるなど、PFIを活用するにふさわしい事業がこれまで見当たらなかったところでございます。  一方、このようなPFI法の課題を回避しながら、民間の資金とノウハウを活用したPFIと同様の手法によりまして、本県では県立中央病院の医師宿舎の整備をしているところでございます。  次に、公共サービス改革法に基づく市場化テストでございますけれども、これは行政が担っていた公共サービスの一部を対象といたしまして、官民競争入札を実施するものでございますけれども、これまでの導入実績は全国で4町村のみとなっております。これは、対象となる公共サービスが主として市町村の窓口関連業務に限定されていることに加え、条例による合議制機関の設置など、実行までの事務手続が煩雑なことなどによるものと考えております。  本県の場合、こうした市場化テストの課題も踏まえまして、費用対効果の面で改善が期待される業務を広く対象として、対話型民間提案制度を実施し、民間事業者の方からの提案をもとに対話を重ねながら、民間が担う公共サービスの分野拡大に努めているところでございます。 109 渡辺委員 わかりました。  それでは、行財政改革の最後の質問ですが、石井知事におかれましては、本年、任期2期目の最後の予算の編成をされたわけですが、県財政の現状等を踏まえ、子供から高齢者まで安心して暮らせる県づくりを目指し、より一層の財政の健全化に取り組まれたいと思いますが、石井知事の決意を伺いたいのであります。 110 石井知事 本県財政ですけれども、7年半ほど前に私が知事に就任させていただいた直後は、400億円の財源不足がありましたが、何といっても北陸新幹線についての地方負担が2,000億円を超すということで、正直これは本当に大変なことになったと思いました。  そこで、行政改革を進めるには、まず県庁みずからが身を削る必要があると考えまして、職員数の削減、また、職員にもお話をして御理解をいただいての職員給与の臨時的減額、そして今もお話に出ましたが、公の施設や外郭団体の廃止等を行うなど、精いっぱいスピード感を持って取り組んでまいりました。例えば一般行政分野の人件費は、この7年ほどで22.6%、1年間で68億円を減らしたことになります。  また、何といっても蛇口が閉められたままではどうしようもないわけですから、地域間の税源偏在の是正とか地方交付税の復元などについて、歴代の総理を初め政府関係機関に再三にわたり提案や要請もしまして、例えば、税制の抜本改革までの暫定措置として地方法人特別税あるいは同譲与税の創設をしてもらい、多いときは富山県と県内市町村で60億円ほど、最近少し地方法人特別税そのものが減っていますから50億円ほどになっておりますが、それなりに効果があったと思います。  また、新幹線整備については、地方交付税措置の拡充が累計で約300億円、それから貸付料の活用により4年間で約200億円の地方負担の軽減も何とか実現できました。また、三位一体改革で本当にとんでもなく減らされた地方交付税も、若干は増額してもらったこともございます。  ようやく財源不足を約65億円にまで縮小できたわけです。あとは、県債の発行額も金利の高いものを繰り上げ償還するとか、また、先ほど経営管理部長から御説明しましたように、通常債の残高をできるだけ減らすことも進めてまいりました。  ただ、平成24年度の予算の政策経費は2.7%増としており、これでも6年間連続増額としたわけでございます。  では、これからはどうかということですが、正直言いまして、少子高齢化に伴って社会保障関係費がまだまだ増加しますし、また、公債費で過去に発行したもの、それから退職手当もまだ高い水準で推移することが見込まれますので、今の円高などの状況を考えますと、決して先行きを楽観できるわけではないと思います。  しかし、財政構造も随分と筋肉質になり、ぜい肉も取れてきましたから、これからも誠心誠意、財政再建、行政改革もしっかり進めますとともに、国に対しては、地方の自立、地域間格差の是正のための税財政改革をしっかりやってもらうように働きかけていきたい。  それから、県内産業の活性化です。先ほども議論がありましたが、ものづくり産業が富山県の中核産業ですから、引き続き円高の中でもしっかり付加価値を高めていくことです。  さらに3年後の新幹線開業が、やはり観光やビジネス面でチャンスだと思いますので、これを生かさなければいけない。幸い、伏木富山港も日本海側の拠点港になりましたし、富山空港の国際化も進んでいますから、こうした陸海空の社会資本整備を進めて、県内産業の活性化を図り観光振興を図ることによって、税収を増やし財政再建を進めていきたいと思っております。 111 渡辺委員 ぜひ、よろしくお願いします。私は東京電力の問題が、あと四、五年は引っ張るのではないかと一番危惧をいたしております。  それでは、次の質問に入らせていただきます。  商業の活性化や中心市街地というのは、行政の一番不得意な分野といいますか、非常に難しい分野でございまして、きょうはあえて中心市街地の活性化について質問させていただきます。  本年1月中旬、高岡市の中心商店街の核となるデパートの営業時間が1時間短縮されました。数日後、偶然に出会った新聞記者から取材を受けまして、中心市街地の活性化にとってはどうなのかと言われまして、私は、決して好ましいことではない、というコメントだけは残しておきました。  折しも現駅も改築のため閉鎖、新幹線も平成26年度末には開業されるわけでございますが、以前から見ると、中心市街地は本当によくなっているのか、私は、平成20年12月定例会の予算特別委員会で、シャッター街と言われた現在の中心市街地について幾つか質問をさせていただきました。中心市街地に生まれ育った私にとっては、中心市街地の栄枯盛衰をだれよりも身近に見てきたからであります。  今回は、前回質問させていただいたことの検証を初め、中心市街地活性化の本質とは何なのか。何のための活性化なのか。だれのための活性化なのか。これは、自分自身への疑問を含め、質問をさせていただきたいと思います。  活性化については、私は大きく2つの視点があると思います。国でいう経済産業省の商業振興の側面、また、まちなか居住や再開発といった国土交通省の視点も必要になってくるわけでございます。そして、きょうは時間がなくて質問できませんけれども、公共交通の問題がやはり出てまいります。  そういう中で、最初に都市計画についてお尋ねをしたいと思います。  そもそも都市計画とは、都市計画法にのっとり、地方自治体がエリアを区切り、それぞれのエリアごとに開発の方向性を明確にする計画であります。都市計画区域内で既に開発されているか、今後10年以内の開発を予定している地域を市街化区域とし、それ以外の地域を市街化調整区域といたしております。市街化調整区域は、基本的に当面は開発することができないとする一方、市街化区域は、商業地として発展させる地域であり、用途地域として商業地域、工業地域、住居地域などが定められております。  このように、過去、用途を明確に線引きするゾーニング主義で進められ、ゾーニング主義は、確かに乱開発等を防ぐなど、それなりの役割を果たしてきたと思います。しかし、時代が進み、人口の減少、少子高齢化、産業構造の転換など、今後の都市形成を考えるにあたっては、私は、このことが重要な課題になっているとしか思えません。  そこで最初の質問ですが、都市計画における市街化区域、市街化調整区域の区域区分や用途地域等については、これまで乱開発を防ぐ役割を果たしてきたと考えますが、どのように評価をされているのか、牧田土木部長にお尋ねをいたします。 112 牧田土木部長 市街化区域と市街化調整区域の区域区分、いわゆる線引きにつきましては、市街化区域における土地区画整理事業や街路、公園、下水道事業などによる計画的な市街地の整備、また、市街化調整区域における無秩序な市街化の防止及び自然環境の保全などの面で、一定の効果を上げてきたと考えております。  また、用途地域につきましては、建物の用途、容積率、建ぺい率、高さなどを規制することにより、適正な土地利用を誘導する手法でございまして、健全な住環境の保全、商業地における土地の高度利用、集約された工業地の形成など、土地利用の混在化を防ぎ、純化を図る上で一定の役割を果たしてきたものと考えております。  これまでも、人口構造や産業構造、都市構造などの変化に合わせまして、周辺環境への影響なども考慮して、随時、市街化区域の拡大や用途地域の見直しなどを進めてきております。  また、中心市街地活性化の観点から、市街地周辺部における大型商業施設や映画館などの、大規模集客施設の立地を制限するための特別用途地区の設定や、さらに市街化調整区域における既存集落の維持活性化の観点から、周辺に影響のない範囲で一定規模の宅地開発が可能となる地区計画などの運用もなされてきております。  今後とも、これらの都市計画制度の運用について、市町村とも十分に連携協力していきたいと考えております。 113 渡辺委員 今ほどの部長の答弁でもよくわかります。ただ私は、用途混在はまずいということで明確に用途を分離するゾーニング主義をやっていらっしゃいますが、ゾーニング主義は、ここは商業地域、ここは工業地域、ここは住居地域と分けられ、その面積がどうしても広がっていきます。コンパクトシティーでやっていかなければいけない時代に、どうしても膨張してしまう。特に商業地域が広がりすぎるものですから、なかなか中心市街地が活性化していかないのではないかということでございます。  今は運用を弾力的にやっていらっしゃって、意外と硬直性はないわけですが、ただ、これをできない理由にされては、とてもではないけれども、都市計画法でのまちづくりはできないと強く感じるものですから、こういう質問をさせていただきました。  次に、中心市街地の活性化のためには、商店街の再生だけで取り組んでも徒労に終わる可能性が高いということについてであります。  私は、商店街がにぎわうかどうかは、今ほども言いましたように商圏人口に左右されると考えております。昔は町の中に人が住んでおりましたけれども、今は空洞化しております。また過去には、駐車場がない、魅力的な店がない、アーケードを作らなければ人が来ないなど、行政もいろいろな施策で支援をしてこられました。近年は、非常に商業振興策が前面に出ているわけですが、私は、中心市街地の衰退の本質は商圏人口の減少であると考えております。  そこで質問ですが、中心市街地の活性化には、まずそこを必要としてくれる人の数を増やすことが近道であると考えております。商業振興策のみでは限界があり、例えば再開発によるまちなか居住、事業所の誘導といった施策の展開など、中心市街地の活性化には都市計画の観点から人口増加策が不可欠と考えておりますが、牧田土木部長の御所見を伺いたいのであります。 114 牧田土木部長 中心市街地の活性化のためには、ハード、ソフト両面にわたる施策を推進する必要があると考えております。このため県では、これまでも商業振興のための各種ソフト施策に加えまして、ハード施策として、道路や公園などの都市基盤整備、電線類の地中化や歩道のバリアフリー化などによる都市の魅力向上に取り組んできたところでございます。  また、委員が御指摘のまちなか居住や事業所の誘導を推進するため、これまで富山市、高岡市などの市街地再開発事業に対し支援もしてきております。具体的には、この4月に完成予定のまちなか居住を推進します富山市中央通りf地区や、公共施設や商業・業務施設等による交流人口の拡大と事業所の誘導を図りました高岡駅前西第一街区などの市街地再開発事業がございます。  さらに、多くの人が集い交流することで中心市街地が活性化することから、公共交通の利便性向上のための交通結節点の整備も重要であり、例えば高岡市では、南北自由通路や駅前広場などの高岡駅周辺整備が進められております。  今後、少子高齢社会が進む中、中心市街地を活性化させるためには、まちなかの魅力をより一層高めていくことが大変に重要でありますことから、県としましては、まちづくりの主体である市町村などと緊密に連携協力しながら、計画的なまちづくりにしっかり努めてまいりたいと考えております。 115 渡辺委員 ありがとうございました。
     次に、私は平成20年度にも質問いたしましたが、国の資金でありますアーケード等の高度化資金について、お伺いをいたしたいと思います。  最初に、平成20年度以降、高度化資金の貸し付け状況とその延滞状況について、荒木商工労働部長にお尋ねをいたします。 116 荒木商工労働部長 高度化資金の貸し付け状況でございますけれども、本県は工場団地の発祥の地ということから、古くから高度化資金を活用し、工場団地、共同店舗、商店街の整備を進めておりますが、これまで総額1,026億円の貸し付けを実行しまして、うち95%に当たる973億円が償還済みとなっております。この結果、平成23年度末現在の貸付残高は64件、約53億円になる見込みでございます。  貸付残高の主なものを見ますと、ショッピングセンターなどの共同店舗が14件で25.8億円、地域の第三セクターなどが実施主体となりましたコミュニティー施設の整備が5件で約16億円、商店街のアーケードなど共同施設の整備が9件で約1.4億円、中小企業者が立地環境のよいところへ移転します、いわゆる集団化事業が4件で約2億円となっております。  また、延滞状況でございますが、高度化資金の債権につきましては、個々の貸し付け先の経営状況を考慮しながら分類を行っております。貸付残高約53億円のうち、貸し付け当初の約定どおり順調に返済されているものが46件で19.3億円、経営状況等を考慮しまして当初の約定を変更しながら返済されているものは9件で約25.3億円、残りの経営不振等によりまして延滞が生じているものが9件で約8億円という状況でございます。 117 渡辺委員 今ほど県内の高度化資金の状況を聞かせていただきましたが、依然として、この高度化資金の返済負担が商店街の活性化の大きな障害となっております。現状をどう受けとめておられるのか、荒木商工労働部長にお尋ねをいたします。 118 荒木商工労働部長 平成元年以降の商店街振興組合等への高度化資金の貸し付け状況を見ますと、アーケードやカラー舗装整備などに対しまして17件の貸し付けを行っております。このうち既に完済したものが8件、当初の約定どおり償還中のものが7件、償還猶予や期限延長の措置をとっているものがそれぞれ1件ずつとなっております。全体といたしましては、商店街において快適に買い物ができる環境を整え集客力を高めるため、高度化資金が有効に活用されてきたのではないかと考えております。  ただ、近年、郊外における大規模商業施設の立地が進む中で、中心市街地におきましては、魅力的な店舗の減少や地域の人口減少、あるいは集客力の低下、後継者不足といったことから空き店舗が増加しておりますし、また、施設の老朽化という課題もございますことから、一部の組合では、組合員の廃業等によりまして賦課金が十分に徴収できない。その結果、高度化資金の当初の約定どおりの返済が困難になっているという事例もございます。  こうした商店街に対しましては、地元の市町村とも連携しながら、がんばる商店街支援事業などを活用しまして、商店街の活性化に係る取り組みを積極的に支援いたしますとともに、高度化資金の返済に関しましても、組合等からよく事情をお聞きした上で、経営状況や償還能力等を踏まえまして、経営改善の支援、あるいは償還猶予の措置等を講じまして適切に実施しているところでございます。 119 渡辺委員 わかりました。それでは関連の質問でございますが、今ほど部長からもございましたように、中心商店街が非常に衰退している中、廃業店舗分のアーケードの資金返済を現在営業中の店舗に上乗せすることが非常に負担となっております。そして、経営の悪化、破産、さらに進めば商店街が消滅してしまうという最悪のシナリオも今後考えておりまして、大変に心配をいたしております。  そこで質問ですが、私は、高度化資金の返済負担を踏まえ、高度化資金の償還猶予の弾力化などの救済措置を、国に強力に働きかけるべきと考えておりますが、石井知事の御所見を伺いたいのであります。 120 石井知事 お話のように、高度化資金などを活用したのは大変よかったのですが、おっしゃるような状況で、その返済が非常に困難だといった商店街振興組合を私も存じております。  これまでも、高度化資金の約定どおりの返済が困難な場合は、中小企業基盤整備機構と協議の上で、経営状況や償還能力等を踏まえて償還猶予等を行うように支援をしてまいりました。ただ、償還猶予をしても、結局、最終の償還期限が延びないと最終年度で詰まってしまいます。高岡市でもそういう例があるのだと思います。  そこで、県の重要要望として、国や中小企業基盤整備機構に対して、ぜひ最終の償還期限も延長してほしい、また、そのために必要な返済要件の緩和──例えば、これまでは当初の最終償還期限までに貸付金の2分の1以上が償還済みでないと、返済要件の緩和をしてくれないといった問題があったわけですが──そういうことをいろいろお願いしてきたところ、幸い中小企業基盤整備機構も、平成24年度から最終償還期限の延長に必要な返済要件を緩和する方向で制度改正を行っていただけるようにも伺っていますので、ぜひこれを実現するように努力したいと思います。  また、個々に貸し付け先の高度化資金の返済が円滑に進むよう支援しますとともに、国や中小企業基盤整備機構に対しまして、これまで以上に償還猶予制度等の弾力化を引き続き働きかけていきたいと思います。  それから、商店街の活性化に向けては、富山市、高岡市の第2期中心市街地活性化基本計画に基づく事業を当然支援しようと思っているわけでございます。また、商店街独自の活性化プランの実施に対する支援、商店街の後継者を育成する少人数のリーダー養成塾の実施、核となる魅力ある店舗づくりのためのモデル事業、空き店舗対策のために商店街活性化推進委員を配置するといったことで、県としては市町村とも連携しながら精いっぱい前向きに努力したいと思います。 121 渡辺委員 ぜひ、よろしくお願いしたいと思います。  それでは次に、私の地元であります高岡市においては、現在、国へ申請を出しておられますが、県西部、飛越能の玄関口として平成24年度からスタートする高岡市の第2期中心市街地活性化基本計画について、幾つか質問をさせていただきたいと思います。  最初に、第1期中心市街地活性化基本計画について、計画の進捗状況はどうだったのか、また、未実施のものはどのようなものがあったのか、その原因は何なのか、あわせて荒木商工労働部長にお尋ねをいたします。 122 荒木商工労働部長 高岡の中心市街地活性化基本計画の第1期計画には、92の事業が盛り込まれておりまして、事業の実施状況につきましては、完了したものが32事業、実施中のものが56事業、未実施が4事業となっており、事業の実施率は95.7%となっております。  第1期計画の成果といたしましては、1つ目は、開町400年記念事業の実施を初め、瑞龍寺ライトアップ事業などの実施によりまして、目標指標の一つであります主要観光施設における観光客入り込み数が対基準年比で21%、人数では年間20万人増加するなど、中心市街地の観光の魅力、集客力の向上をもたらしていること、2つ目は、末広町電停整備事業や、各種にぎわい創出イベントの開催などによりまして、目標指標の一つでございます中心商店街における歩行者通行量が対基準年比で3%増加するなど、長期的な減少傾向に歯止めがかかり、中心市街地のにぎわいの創出に効果があったこと、また3つ目ですが、開業支援事業等の実施によりまして新規出店が増え、中心商店街における空き店舗数が21店舗減少したということで、商店街の機能向上に寄与したことが一定の成果であったと評価されております。  一方、未実施の4事業ですが、マンションを建設します共同住宅供給事業につきましては、景気低迷による民間投資が進まなかったこと、また、空き店舗へのチャレンジショップ等の入居を行います横丁整備事業につきましては、予定されていた空き店舗に飲食店が既に出店したことなどにより、未実施となっております。  残り2つですが、老朽化施設の取り壊しや建てかえを行います、まちなか再生基金事業や、個人事業者を支援する第2SOHO事業者支援オフィス事業につきましては、引き続き第2期の計画で事業を進めていくこととされております。 123 渡辺委員 今ほど、第1期中心市街地活性化基本計画が非常によかったような答弁でしたけれども、私は町の中に住んでいて、実はあまり見えてこなかったわけです。  私は、別に高岡市だけの話をしているつもりはないのですが、例えば富山市の第1期計画では、非常にハード事業を中心にうまくやられた。多分、この後の第2期計画においては、ソフト事業を中心に進められていくのではないかと思っております。  一方、私の地元の高岡市は第1期計画で、ソフト事業を中心にやってこられたのではないかと推測しております。そして、そのことが余計、中心市街地に住む者にとっては、見えてこなかったし、進まない、何をやっていらっしゃるのかなという感覚を受けております。ただ、この後の第2期中心市街地活性化基本計画においては、高岡市は、市を挙げて多くのハード事業に取り組んでいかれるのではないかと思っております。  高岡市は、歴史的都市の認定等もとられました。これはこれで非常にいいことですが、そのことによって、また中心市街地のエリアが広まってしまう。瑞龍寺から金屋地区までの広い南北をまたぐような、そういう中心市街地活性化基本計画のエリアをつくっていったのでは、これだけ人口が減少している時代において、とてもではないが、活性化、にぎわい創出というのは、なかなか難しいのではないかと思います。  なおかつ、富山市はライトレールをもって環状線をうまくつくられた。人が外へ行かないような方策をとっている。ところが高岡市においては、公共交通の施策が私には全然見えてこない。こういうことで富山市と高岡市の中心市街地活性化基本計画の資料を見ておりますと、はっきりとわかるわけであります。これについては、新幹線が来ることを踏まえて非常に忙しくなってくるわけですが、ぜひ、これからも部長の御助言をお願いしたいと思っております。  それでは、現在、国に申請中で平成24年度から開始する予定の第2期計画の特色や目標とするところについて、荒木商工労働部長にお伺いをいたします。 124 荒木商工労働部長 第2期の計画におきましては、引き続き第1期計画を継承した3つの基本方針を立てておられます。1つ目は「世界に誇れる歴史・文化を生かしたまちづくり」、2つ目は「便利で住みよく快適なまちづくり」、3つ目は「活力と賑わいあふれるまちづくり」でございます。この基本方針により、歴史、文化都市の魅力の強化を図るとともに、新幹線開業による交流人口の拡大の効果を取り込むための各種事業を盛り込んだ計画となっております。  目標につきましても、第1期計画において設定されました「歴史・文化資産の活用によるまちなか交流人口の拡大」、「まちなか居住の推進」、「中心商店街の賑わい創出」を継承しつつ、数値目標が改定されているところでございます。  第2期計画の具体的な特色といたしましては、1つ目には、歴史、文化都市高岡の強みを強化するため、高岡御車山会館建設事業、瑞龍寺保存修理事業など、歴史まちづくり計画と一体となった事業の実施によりまして、歴史的建築物や伝統文化、工芸技術などの固有の特徴を最大限に活用し、歴史都市の魅力の向上を図ることが挙げられます。  また、2つ目には、平成26年度末に新幹線が開業することによりまして、県西部だけではなく、飛騨、能登への玄関口としての交流人口の拡大の効果を中心商店街に取り込むために、中心市街地ストリート回遊計画事業や、たかまちプロムナード事業などにより、新幹線駅と観光拠点や中心市街地との回遊性の向上を図ることが挙げられております。  これらの事業を効果的に実施することによりまして、目標数値であります主要観光施設における観光客の入り込み数については18%の増加、中心商店街における歩行者通行量については27%の増加を見込むことで、中心市街地の活性化に積極的に取り組むこととなっております。 125 渡辺委員 ぜひ、よろしくお願いします。  例えば東京の秋葉原は、エリアマネジメントにより非常に機能別に街ができています。ただ、都会と地方都市を比べることはなかなかできないわけですが、そういう形のまちづくりができればいいなと思います。  そして、絶対的に東京と地方が違うのは何かと言いますと、やはり人がいるかいないかでございます。人がいるということは本当に街がにぎわうということでございまして、何としても市中心部に人が集まるような施策をどんどんとっていただきたいと思います。  それでは、この項目の最後の質問でございます。  新しい第2期計画では、やはり新幹線の新高岡駅からの回遊ルートが必要であります。瑞龍寺から新高岡駅に至る回遊ルートについて、どのように整備を進めていかれるのか。実は、私は、ここが一番弱いと思っております。  そして、やはり御車山会館の整備は大きな目玉になってくるわけです。この建設と展示物となる平成の御車山は、きょうの新聞に出ておりましたけれど、さまざまな事業が掲げられております第2期計画の実現について、私は、県には積極的に支援をしていただきたいと考えますが、石井知事の御所見を伺いたいのであります。 126 石井知事 今、国に申請中の高岡市の第2期計画につきましては、私自身も国に対して、ぜひ、引き続き認定していただくように先般要望を行ったところでございます。認定を首尾よく受けられました後は、ハード、ソフト両面で支援を行っていきたいと思います。  具体的には、先ほど部長からも話が出ましたが、瑞龍寺や高岡御車山の保存修理事業など、歴史都市の魅力向上を図る観光資源や交流拠点の整備に対しまして、これは県なり国の指定文化財保存等のための補助金などで支援したいと思いますし、また県で、まち歩きのモデルコースを設定する事業を実施したいと思います。  また、オープンカフェなどの整備によって、新幹線、人、観光拠点、また中心市街地の回遊性の向上を図る事業や、集客効果の高い定期市の開催、季節ごとのイベント開催など、にぎわいの創出を図るソフト事業に対しても応援していきたいと思っております。  さらに、高岡御車山会館建設事業は、国の社会資本整備総合交付金の活用に向けて予算が確保されますように国に働きかけをしていきたい。また、新幹線開業に伴って、かねてから幹線道路網──特に下伏間江福田線などですが、その整備を応援させていただいておりますし、また城端線の新駅設置への支援も行うことにしております。  ただ、先ほど委員もおっしゃいましたけれども、県内では中心市街地活性化法の適用を2つの都市が受けているわけですけれども、特に市街地再開発事業のウイング・ウイング高岡ができ上がったのは、確か平成16年2月ごろですか、あの後なかなか出てこない。正直、富山市はかなり出てきております。もちろん、市も努力されているし県も応援しているわけですが、やはり民間のそれなりの盛り上がりもあるわけです。そういう点では、渡辺委員も高岡市を代表する経済人でもいらっしゃるので、ぜひ地元から民間の力で何かそういうものが盛り上がってくると、もちろん市もいろいろ工夫されているはずだとは思うのですが、県としても応援しやすいと思っております。  高岡市は、何といっても歴史都市の認定も受けられまして、富山市とは違った意味で、戦災も受けておられませんので、いいものがいろいろあるわけです。新幹線開業もあと3年後ですし、しかも飛越能の玄関口であり、伏木富山港が総合的拠点港になり、いろいろといい材料があるはずなので、ぜひ、これを機会にまた一段と飛躍していただくように、県としても応援してまいりたいと思っております。 127 渡辺委員 ぜひ、よろしくお願いいたします。  最後に、富山県ものづくり研究開発センターについて質問させていただきます。  ものづくりを基幹産業とする当県において、県内のものづくり産業の一層の発展を目指し、県内の産学官が連携して技術開発などに取り組む拠点として、昨年4月、富山県ものづくり研究開発センターが開所されました。  センターでの取り組みについては、最先端設備の開放、研究開発プロジェクトの推進、実践的なものづくり人材の育成、異分野、異業種交流の促進を目的としておりまして、将来に大変期待が持てる施設であります。  当時、私は経済建設委員長をいたしておりまして、一時、事業仕分けによって上物ができないという大変心配した施設でもございます。時の商工労働部長は柳野さんでございまして、視察先に知事から電話があり、すぐに戻られたという経験もございます。大変に努力された施設でございますので、昨年、開所されて本当によかったと今は思っております。  そこで最初の質問ですが、開所して1年がたとうとしておりますが、では、どのような分野の企業がセンターを活用しているのか、その活用状況と、県内企業、県外企業の活用比率について、また、26もの最先端設備が整備をされており、これらの設備を活用した研究プロジェクトが実施されておりますが、現在、進行している研究プロジェクトの内容や商品化の見込み等をあわせて、荒木商工労働部長にお尋ねをいたします。 128 荒木商工労働部長 導入いたしました26の最先端設備でございますが、その利用状況につきましては、本年2月までで127社が利用いたしております。うち、76%が県内企業、24%が県外企業でございます。  また、利用設備の分野別で申し上げますと、電子分野が28%、機械分野が18%、金属分野が6%、プラスチック分野が6%、繊維分野が13%、その他は電子顕微鏡など共通で使う分野でございます。  また、これらの最先端設備を活用して共同研究を実施する企業スペース、あるいはプロジェクトスペースにつきましては、県内企業が9企業、東京も含めまして県外からは2企業でございます。そして県立大学が入居しましたので、全14室のうち12室が埋まっているという状況です。できるだけ早い時期に満室となるように、さらに努力していきたいと考えております。  ものづくり研究開発センターを活用しました現在の開発状況につきましては、委員から御紹介がありましたように、26の研究プロジェクトがございます。これを大きく3つに分けますと、1つ目には、商品化一歩手前まで来ております試作品レベルでありまして、エレクトロスピニング装置を活用して開発されました防水性と透湿性をあわせ持つ高密度・高伸縮性ニットなど、全部で9テーマとなっております。2つ目には、実用化研究のレベルにあるもので、精密フライス加工機を活用しました肌ざわりのよい携帯電話の開発など、全部で9テーマとなっております。3つ目には、基礎研究レベルにあるもので、ナノファイバーを用いた貼付剤の開発など8テーマとなっておりまして、研究が進んでいると考えております。 129 渡辺委員 私は今回この質問をするに当たりまして、県西部の製造業数社に、ものづくり研究開発センターを活用してどうですか、と話を聞いてまいりました。どこの企業に行っても非常にいい答えが返ってきました。研究開発センターなくして技術の向上なし。十分にしていただいており、研究員の方も大変熱心であり、相談等に関しては午前0時過ぎからでもメールが届く、とのことです。また、他の企業からは、設備など申し分ない、研究員の方が多忙なため時間的に使いたい時間に使えない、人材育成のための教育等、各講習会の案内をもっと出してほしい、本当にすばらしい施設なので、もっとPRをされてはどうか、などと大変に高い評価を受けており、製造業の皆様には本当に喜んでいただいているのだなと、生の声を聞いてきまして確信をいたしました。  そこで質問ですが、講習会の開催やセンターのPR広報活動に、もっと積極的に取り組んでいくべきだと私は考えておりますが、今後の取り組みを荒木商工労働部長にお尋ねいたします。 130 荒木商工労働部長 今ほど、利用されている企業の声を御紹介いただき、大変ありがとうございました。  ものづくり研究開発センターにつきましては、広く利用していただくために講習会、広報活動に努めておりまして、講習会につきましては、今年度、企業や大学の研究者、技術者を対象として、導入した最先端設備を活用したグループ研修が20講座で、うち基本研修が15講座で319名、応用研修が5講座で28名の方に受講していただいております。  新年度につきましては、引き続き最先端設備の基本的な活用方法について研修を開催いたしますとともに、個別企業の課題解決に向けたマン・ツー・マンの実践的な研修を実施するなど、内容を充実することといたしております。  また、広報活動につきましては、パンフレットやホームページなどを作成いたしまして、最先端設備の紹介や最新情報の提供、また工業会と連携しましたPRなどを行ってきております。  これらの活動を通じまして、既に多くの県内外の企業や大学関係者に利用していただいており、新商品の開発や産学官共同研究の実施につながるなど具体的な成果も出ておりますし、また企業スペースもほぼ埋まっている状況でございます。  新年度では、これらの講習会や広報活動に加えまして、ものづくり研究開発センターに新たに嘱託職員を1名配置することといたしております。最先端設備を活用した研究開発や商品開発を円滑に推進し、しっかりと実績を積み上げて、それらの実績や最先端設備の高度な活用方法を具体的にPRしていくことで、センターの一層の活用促進を図ってまいりたいと考えております。 131 渡辺委員 ぜひ、よろしくお願いします。  それでは最後に、本年度は、ものづくり研究開発センターを中心としまして、最先端ものづくり拠点の形成として、特にレベルの高いナノテクノロジーを中心とした事業展開、人材の育成等に力を入れておられます。  そこで質問ですが、国際水準の最先端設備を活用し、新商品、新技術開発の支援や人材の育成、ナノテクノロジー技術の開発など、ものづくり富山の拠点としてのさらなる発展を期待するわけですが、石井知事の御所見を伺いたいと思います。 132 石井知事 ものづくり研究開発センターについては、先ほど委員からも御評価いただきましたけれども、これまで国や県の公募事業など26テーマで研究プロジェクトが行われていまして、先ほど商工労働部長から概括的な説明もしましたが、例えば、10m法大型電波暗室を利用して開発した産業用ロボットの精密な動きを制御するための6軸力覚センサー、あるいは電界放出形走査電子顕微鏡などを利用して開発した軽量高強度アルミホイールなどが実用化されております。  また、最先端設備を活用した高度技術人材の育成研修や長期インターンシップの実施で、企業の技術者の方が347名、大学生も10名の方を、既に実践的なものづくり人材として育成し、それなりの成果が出てきていると思います。  新年度におきましては、このセンターに導入しておりますナノテク関連の8つの設備を最大限に活用しまして、例えばエレクトロスピニング装置とか超精密切削加工機などですけれども、今後の成長が期待できる分野で、高精度、高付加価値化を実現するために不可欠なナノテクノロジーを重点に、開発及び普及に努めていきたいと思っております。  具体的には、予算にも上げておりますが、1つ目には、国内からは産業技術総合研究所の方に来ていただきますし、ヨーロッパからは、例えばドイツの著名な研究者に来てもらうなど、世界的な研究者を交えたシンポジウムを開催し、国内外の研究機関の研究者との交流促進を図ることです。2つ目には、次世代自動車分野で応用が期待できる超軽量高強度プラスチック成形技術など、県内企業に展開できる新しいナノテクものづくり基盤技術の研究開発を進めることです。3つ目には、新たに先端技術の実用化、商品化のための困難な課題を解決する先端技術実用化支援事業──最大500万円までの補助金を出す制度──もつくりましたので、その中にナノテク枠を設定して、産学官連携共同研究を支援していくことにしております。4つ目には、ナノテク設備を活用した共同研究方式による高度のナノテク人材の育成にも取り組みたいと思っております。  本県産業は、先ほども議論がありましたが、ものづくり企業が何といっても中核的な産業ですから、絶えざるイノベーションをやる、新商品の創出をやるということで、ものづくり研究開発センターをその中核に据えまして、世界のマーケットで勝負できる新しい商品や新しい技術の開発、新成長産業への挑戦を支援していくことにより、地元高岡市や富山県の活性化にもつながるようにしたいと思います。 133 井村副委員長 渡辺委員の質疑は以上をもって終わりました。  暫時休憩いたします。  休憩時間は10分間といたします。                     午後2時58分休憩                     午後3時10分開議        高平公嗣委員の質疑及び答弁 134 大野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  高平委員。あなたの持ち時間は60分であります。 135 高平委員 きょうの最後の質問者になりました。非常にいい質問が多いのですが、本当に外の天候がいいからなのか、何か眠たくて、どうして眠たいのかわかりませんけれども、最後の質問ぐらいしっかりと頑張っていきたいと思います。皆さんに起きていただくためにも、大枚をはたいてカラーコピーも用意してまいりました。大野委員長の配慮によりまして配布させていただいたことを厚く御礼申し上げます。  きょうは、富山空港における諸課題ということで質問させていただきたいと思います。  知事は提案理由説明で、本県においては平成26年度末までの北陸新幹線の開業、敦賀までの延伸の事実上の決定、伏木富山港の日本海側の総合的拠点港選定、北京・大連便のデイリー化、台北便の就航、富山空港の国際航空路の充実など、陸海空の重要なインフラ整備が進みつつあると述べられました。  そこで私は、その陸海空の中で空路の部分を抜粋してみました。今年度予算を見ますと、新規が5つございます。新規就航に伴うPR事業として、台北便利用促進事業が500万円。それから冬季限定となっておりますが富山県からの送客に対する助成として、富山空港国際路線送客助成事業が1,500万円。経済訪問団の派遣、台湾企業のミッションの受け入れとして、台湾経済交流促進事業が794万円。航空会社との連携による観光プロモーションとして、富山・台北便応援キャンペーン事業が700万円。台湾からの送客に対する助成として、富山・台北便活性化誘客推進事業が3,000万円。ここまでが新規でございます。  あとは継続ということで、国際チャーター便の運航支援として、富山空港ダイレクト支援事業が700万円。乗り継ぎ支援として、東京便乗り継ぎ利用促進事業が498万円となっております。  今年度、環日本海交流の拠点として台北便の就航がございましたので、しっかりとサポートしていくということで新規の予算がたくさんあるわけですけれども、残念なのは、空港を何かしようという予算がないのです。  港も総合的拠点港になり、しゅんせつも行い護岸も整備する。新幹線はしっかりと路線をつくっていく。しかし、富山空港に対するハードの整備については、どうも目に見えてこないことが、私は少し残念に思いました。  御案内のように、稗苗議員も一般質問されておられますが、この冬の天候は雪が非常に多かったということに尽きるわけですけれども、やはり、冬に弱い空港、逆に言うと冬に当てにならない空港と言われていては、富山県の玄関口として非常に情けない、そんな思いであります。  知事も、どうにもならないときは小松空港まで行って小松空港から東京へ行かれたことがあり、その途中まで私は一緒だったのですが、非常に残念な思いで話を聞いておりました。  とはいえ札幌便も、北海道の新千歳空港に雪が多ければ欠航です。飛行機は、たくさんの人の人命をしっかり守ることも大きな役割です。ですから、安全に上がる、おりることが原点だと思いますけれども、きょうは、少しでも富山空港が信頼され、そして魅力ある空港になってほしいという思いを込めて、以下質問に入りたいと思います。  最初に、一般質問でも出ていたのですが、欠航便が非常に相次いだということで、定期便とチャーター便の欠航状況について吉田知事政策局長にお尋ねしたいと思います。 136 吉田知事政策局長 この冬、富山空港のある富山市では、25年ぶりに積雪深が90センチメートルを超え95センチメートルとなるなど、累計降雪深においては平成18年の豪雪を下回っておりますけれども、最大積雪深につきましては、18豪雪が79センチメートルであったのに対して本年度は95センチメートルで、18豪雪にも匹敵するような大雪となりました。  このため、平成23年12月から24年2月の期間の集計でございますが、雪による視界不良等で、定期便につきましては86便が欠航となりました。さらにチャーター便では、落雷による機材の故障でございますけれども、1便がやむなく欠航したということで、就航率は94.4%となったところでございます。 137 高平委員 チャーター便は落雷のものだけですか。横山副議長がカンボジアに行く飛行機は落雷ではなかっただろう。あれは定期便のアシアナ便だったか。  私は、横山副議長が富山県PTA連合会のOB会の視察でカンボジアへ行って、おられないだろうと思っておりましたら、藤井議員と瘧師議員に次の日にお会いして、何でカンボジアへ行かなかったのか、と言ったら、雪で飛行機が飛ばなくて行けなかったということでしたが、これはどうなのか、空港に請求書は来てないでしょうけれど、飛ばなかったことでツアーのキャンセル料も取られているのですよね。  ことしは特に雪が多かったような言い方をされますが、過去のデータを見ると、平成18年度も108便が欠航ですよね。さまざまな対応をされて、少しずつ欠航便数は減ってきたとはいえ、ことしは非常に大きく増えた。平成21年度の81便に比べ5便多い86便という結果になっております。  そこで、この冬期間の就航率の改善に向けたこれまでの対策と、今後の取り組みについて伺いたいと思います。
     皆さん、資料を見ていただきたいのですが、答弁される中で出てくると思いますので、これも見て、知事政策局長の答弁を聞いていただきたいと思います。 138 吉田知事政策局長 県では、これまで冬期の就航率の向上のため、平成19年12月からは、空港周辺の気象状況を的確に把握し、着陸のタイミングを指示することができる小型気象レーダーの運用を開始いたしましたし、平成20年8月からは、着陸の可否を最終的に判断する最低降下高度を約158メートルから約143メートルへ約15メートル引き下げるなど、対策を進めてきたところでございます。  お配りいただきました資料のA4のほうを見ていただきますと、上のほうに最低降下高度が約15メートル引き下がった図がございます。それから下のほうに小型レーダーの観測の様子が描かれております。  先ほど申し上げましたとおり非常に欠航便数が多くなったところでございまして、就航率は94.4%で、平成15年度から見て最も低い就航率だったわけでございます。もしこれらの対策がなければ、さらに38便の欠航が見込まれましたが、その分はこれらの対策によって回避されたので、一定の効果を上げてきていると認識しております。  この冬の状況を踏まえまして、現在、就航率の一層の改善のための対策として考えておりますことは、1つには、空港における除雪体制に万全を期すことで、2つ目には、今ほど御紹介いたしましたが、これまで蓄積しました小型気象レーダーのデータを分析し、富山空港上空の気象の特徴を体系的に把握することで、3つ目には、新たに国土交通省からより精度の高いXバンドレーダーのデータの提供を受け、現在の小型レーダーより広範囲で詳細な天候の変化の状況を把握することです。  Xバンドレーダーにつきましても、お配りいただいた資料の2ページ目に、既存のレーダーとXバンドレーダーのメッシュの差などがわかりやすく記載されていると思いますが、現在、このようなことにつきまして検討を進めており、より的確な情報の提供により、少しでも欠航便を減らせるように努力してまいりたいと考えております。 139 高平委員 局長の答弁の中で、このXバンドレーダーの話がよく出てきましたが、この資料は、実を言うと私が三郷の国土交通省富山河川国道事務所へ行って、どんな性能があるのか聞いてきたものです。  端的に言うと、これはあくまでもゲリラ豪雨対策用で、平成20年でしたか、その時のような大水害が事前に察知できないかを含めて、国土交通省では、より細かい雨の粒の大きさまでわかるXバンドMPレーダーを設置しました。私は、てっきりもう運用しているのかと思ったのですが、現在、まだ試験中というか、本運用ではないのです。今は、降った雨の量とレーダーで感知したものの突き合わせというか、精度の確認を行っているということです。これができればゲリラ豪雨対策には、かなり大きく役に立つだろうというお話でありました。  ゲリラ豪雨対策と、雨の粒の大きさがわかることと、範囲が広くなることだけで、万全な状態で飛べることになるわけですか、局長、もう一度聞かせてください。  Xバンドレーダーは、あくまで天候用につくられているものです。確かに範囲は広くなるのですが、御案内のように高さはないのです。ずっと議会での答弁を聞いていても、Xバンドレーダーとはどんなものなのか、一つもわからないので調べてきたのですが、せっかく資料をつくってきたのだから、これを入れたらどうなるのか、もう少し詳しく話してください。 140 吉田知事政策局長 御存じのように富山空港は、地形等の制約があるため計器による自動の着陸ができない空港となっております。そのため、実際にパイロットが、空港に近づいて、先ほど申し上げました高度まで下がった時点で、空港の光あるいは空港自体を現に視認することができましたら、着陸できることになっております。したがいまして、雨雲が覆っている、雪が非常にたくさん降っているときには、空港が見えないために着陸できずに引き返す、あるいはほかの空港に着陸するということが生じるわけでございます。  一方で、このXバンドレーダーを活用いたしますと、もちろん直接見ることにはつながらないわけですが、雲の切れ目などがどのように移ってきているのかが見れるわけですから、今は雲に覆われているけれども、例えば、あと5分ぐらいしたら雲の切れ目が来るので、少し上空を旋回していて、その切れ目のときにおりてくれば空港を見ることができ、着陸できるということで、着陸がより容易になるということでございます。 141 高平委員 この質問に当たって私も、平成21年3月に出された報告書──富山空港の将来のあり方・活性化方策について──を見せていただきました。当時、この報告書が出た大きな要因は、羽田空港の拡張をどうとらえるかということと、このころから少しずつ航空会社の経営状況もよくなくなってきたということにも起因していると思います。加えて、後からまた聞きたいと思いますが、北陸新幹線がいよいよ開業するという中で富山空港はどうしていくのか、そのようなことを含めた報告書というように、私は読ませていただきました。  ただ、読ませていただいたら、立地上の課題が2行書いてあり、「空港施設が神通川の河川敷にあるため、滑走路の拡張やILS(計器着陸装置)の完備などの面で制約が生じざるを得ない」と書いてあります。  あとは、18ページで分厚いのですが最後の17ページの「将来に向けた方策」の中に、「平成19年12月に富山空港に小型気象レーダーが設置され、空港上空の気象情報を航空機に提供することにより冬期間を中心とした悪天候時の就航率の改善に成果を上げてきているほか、平成20年8月からは空港への着陸が可能かどうかを判断する最低降下高度が引き下げられるなど、就航率の改善のための取り組みは進められているが、一層の就航率改善を図るにはILS(計器着陸装置)の完備などが不可欠であり、河川敷空港という特殊な立地条件の中で困難性はあるものの、設置の可能性を検討していく必要がある」と書いてあります。  これは3年前ですよ。私が言いたいのは、この3年間、何かしてきたのかということです。やはり富山空港を魅力ある空港にしていくために、いろいろな取り組みが進められていることは間違いないと思いますが、例えば、4年かかっても5年かかっても、こういう基盤整備をやりたいというものが見えれば、みんな楽しみに待てると思うのです。実は、何もしていないことが、やる気が感じられないという思いでいるのです。  今は、「はやぶさ」がイトカワへ行って帰ってくる時代です。私たちから言えば考えられないような時代です。御案内のように、立山黒部アルペンルートの除雪もブルドーザーにGPSをつけてやっている時代です。GPSをつけると、精度がものすごく高いのです。そんなにずれないのです。  こんな時代に、何か新しい技術に少しずつ投資して、県民の皆さんに、今、こんなところを目指して頑張っているのだと言えるようなことに、ぜひ挑戦してもらえないかというのが私の思いでございます。  いい答えが出ないと知事政策局長が言っていましたが、なぜこれを知事が答えるかというと、ひょっとしたらいい答えが出るのかなと思ったからで、知事に質問いたします。 142 石井知事 いい答えが出るから私が答えるのではなくて、非常に重要なことだから私が答えるのでございます。  委員がおっしゃったように、今、ILSを使えないのは、地形や周辺の構造物の関係でありますので、どうしたらいいのか。実は私は、この問題を、3年前に報告書を出したときにも議論しましたし、7年余り前に就任してすぐのときにも議論したのです。  今さらしょうがないのですが、北陸自動車道、国道359号、それから上流のほうに広域農道がありますけれども、これを率直に言うと500メートルか1キロメートルぐらいずらしたり、あるいは河川の流路を動かしたりすればできるのです。しかし、道路を1本つけかえるだけでも数百億円以上の話になってくるので、とてもこれは持ち上がるものではないということで、実は来ているのです。  そこで、Xバンドレーダーも、しょせんその程度の話ではないかとおっしゃるのもわかるのです。しかし、一歩前進だということです。  それから、今、考えていますのは、富山空港は、現在、簡易式の進入灯や進入路指示灯が設置されているのですが、実は今までは、計器飛行ではないから、あの程度の指示灯でいいのだということになっていたのですが、むしろ目で見ないといけないのだから、なおのこと、もっと照度を上げられないか、この照度を変えることで、もっと就航率の向上につなげられないか、という議論を、航空局、河川管理者、道路管理者と行なっているところです。  それから、委員が大変いいところをおっしゃっているのですが、せっかくここまでGPSの技術が発達したので、それを活用した着陸方法ができないのか、まさに今、はやぶさの話をされましたが、私どもも、そういうことについての検討をお願いしております。  実は、国も、次世代への地球規模での着陸誘導システムとして、このGPSを使った方法があるのではないかということで研究開発を進めていただいています。このシステムは、GPSの衛星から航空機に送信されるデータと、それから地上装置から航空機に送信される補強データによって、着陸精度、安全性を向上させることが可能であり、将来は今のILSにかわるシステムだと言われております。  お互いに、あまり期待を持ち過ぎてもいけないのですが、国に言わせると、技術的には実用化の一歩手前まで来ているのだと言ってくれています。まだ実証実験段階であり、実用化に当たっては地上の装置や機上の装備が必要になることや、また、航空機への機上装備は新規導入の航空機から搭載されていくということで、富山空港に来る航空機を考えると、真っ先につけてもらえるかどうかは、なかなか難しい点があると思うのです。したがって少し時間はかかりますが、そういうことが一つの解決策だと思いますので、引き続き国に働きかけていきたい。  これが将来うまくいけば、就航率向上への抜本的な対策になり得るのではないかと思っております。ただ、あと4年たったらとは言えないのが申しわけないのですが、努力してまいりますので、御理解を賜りたいと思います。 143 高平委員 まあ、そんなに簡単にはならないとは思いますが、少しずつでも努力していくことで、県民の皆さんにも、みんなでしっかり空港を支えようという気概が出てくると思いますので、よろしくお願いしたいと思います。  次の質問に行きます。  長引く景気の低迷、あるいは航空会社の厳しい経営環境と相まって、JALの撤退や福岡便の休止などの減便が大きな要因ではないかと私は思っているのですが、近年、本当に富山空港の利用者数の減少傾向に歯止めがかからない。このことについて、どのように分析しているのか吉田局長に伺いたいと思います。 144 吉田知事政策局長 富山空港の利用者数でございますが、平成16年度の139万人をピークに、御指摘のとおり減少傾向が続いておりまして、昨年度の年間利用者数は94万人弱でございました。  空港の利用者数が減少する要因といたしましては、まず航空利用全体にかかわる問題といたしまして、平成20年のリーマンショックや円高などの経済的要因から、その影響が比較的長期に及ぶものがあります。また、平成15年のSARSや平成21年の新型インフルエンザなど、感染症等によりまして比較的短期間の影響によるものもございます。  それから、富山空港にかかわる個別の要因といたしましては、世界経済の影響などを受けました路線の廃止や便数の減少、例えばJAL便、それから福岡便、ウラジオストク便が、廃止、休止になっていること、あるいは便数が減少しているものもあること、また、運航会社の変更による機材の小型化などがあります。  利用者数の減少には、このようなさまざまな要因が影響していると考えられるところでございます。 145 高平委員 これからは、富山空港の収支、それからターミナルビルについて少し伺いたいと思います。  富山空港の収支状況は、直近3年間の資料を見ると、あくまでキャッシュフローベースですが、平成20年度は1,500万円の黒字でした。平成21年度は8,300万円の赤字、平成22年度は1億800万円の赤字と年々悪化しているように思われますが、その原因としてどのようなものが考えられるのか、局長に伺いたいと思います。 146 吉田知事政策局長 平成20年度から22年度の富山空港の収支を見ますと、御指摘のとおり、黒字から赤字に移行している現状になっております。  収支の変化の要因を分析いたしますと、支出につきましては、整備工事や施設の更新、降雪等の状況にもよりますけれども、おおむね6億円前後で安定して推移しています。一方で収入につきましては、主な柱であります着陸料等収入が減少しておりますことが、収支に大きく影響しているものと考えられます。  この着陸料等収入の減少の要因でございますけれども、航空機材の変更や小型化、運航便数の減少、さらには着陸料の軽減措置を逐次拡大したことなどがございます。  また、本年度見込みでございますけれども、引き続き航空各社におきまして航空機材の小型化が行われていること、それから、北京・大連便が運航いたしまして一定の便数増があるものの、東日本大震災による海外チャーター便の減少や季節増便の取り消しがあったことなどから、やはり便数的にも、また機材の大きさの面でも、本年度につきましても着陸料等収入の増収はなかなか難しいと考えております。  おおむね現時点での見込みでございますが、着陸料等収入は3億4,200万円程度で、昨年度を3,000万円程度下回るのではないかと見込んでいるところでございます。 147 高平委員 今の吉田局長のお話にございましたように、収入では、着陸料、支出では空港等維持運営費が主なものとなりますが、着陸料については、確かに平成20年は4億9,400万円、21年では4億2,700万円、22年では4億円を切って3億7,200万円と減ってきております。特に着陸料の中でも軽減措置が大きな要因として考えられますが、着陸料の軽減措置についてお答えいただきたいと思います。 148 吉田知事政策局長 富山空港の着陸料につきましては、路線の維持発展を推進する観点から、おおむね国管理空港に準拠する形で軽減措置を講じてきたところでございます。  具体的に申し上げますと、まず平成11年4月でございますけれども、国が地方路線の着陸料を3分の2に軽減したことと合わせまして、富山空港におきましても国内線の着陸料を3分の2に軽減いたしました。それから、平成20年4月でございますが、これも国が国際チャーター便を積極的に促進するため2分の1に軽減したことに合わせまして、富山空港におきましても国際チャーター便着陸料を2分の1に軽減いたしました。  それから、海外からの観光客の誘致を積極的に推進するとともに、他空港との競争力の確保を図るため、政策的に本県独自の着陸料減免制度を創設いたしまして、平成21年4月からは国際線定期便着陸料についても2分の1に軽減しているところでございます。  さらに平成22年10月には、国が地方航空ネットワークの維持を図るため、着陸料を先ほどの3分の2からさらに10分の6に引き下げたことに合わせまして、同じく国内線着陸料を3分の2から10分の6に軽減しているところでございます。  このように、富山空港の競争力確保や航空会社への支援を通じた路線維持等の観点から、随時このような軽減を実施しているところでございます。 149 高平委員 ということは、着陸料が増える見込みはなかなかないですね。ずっと赤字ということになるね。  次の質問にも関連しているのですが、先ほど言いましたように空港維持管理運営費が歳出面で主なものですが、この内訳をお聞かせいただきたいのと、また、着陸料が減ってくるわけですから、コスト縮減に向けてどのように努力をしてきたのか、また、今後の取り組みについて伺いたいと思います。 150 吉田知事政策局長 歳出でございますが、これは年間おおむね6億円程度でございますけれども、このうち大きなウエートを占めているのが御指摘のとおり空港維持運営費でございまして、これが6億円のうちの大体4.6から5億円程度を占めているものでございます。  例えば、内訳を平成22年で申し上げますと、空港管理事務所等の人件費が約1億2,400万円、また消防や警備などの管理委託費用が約1億5,200万円、航空会社へのハイジャック等防止補助金が約5,200万円、消雪施設、除雪車両などの維持修繕費用が約8,400万円、冬期間の除雪費が約2,600万円という内訳になっております。  航空機の安全な運航を確保するためには、なかなか縮減が難しい費用も多いわけでございますけれども、富山空港につきましては、例えば職員数で言いますと11人ということで、ほかの空港と比較しましても非常に少ない人数で効率的な管理運営に努めているところでございます。また、空港管理業務につきましては、平成10年から民間への委託を行っております。  それから施設や車両につきましては、適切で効率的なメンテナンスを行うことに努めておりまして、例えば消雪パイプにつきましては、費用の高い鋳鉄管から、費用が安くてメンテナンスのしやすい塩化ビニール管への変更も行っております。  このような形で、これまでも可能な限りコスト縮減に努めてきたところでございますが、富山空港につきましては、昭和59年のジェット化から28年が経過いたしましたことから、施設の老朽化や車両が更新時期を迎えておりまして、今後はこれまで以上に維持管理費用がかさむことも想定されます。県といたしましては、これまで同様、コンパクトな管理体制と適切で効率的なメンテナンスを行うとともに、施設設備の計画的な更新を行うなど、一層のコスト管理、また縮減に取り組んでまいりたいと考えております。 151 高平委員 全国的に空港の経営管理の収支を見ても、富山空港はまだ健闘しているほうだと思いますが、今の話を総合すると、これは1億円よりもっと大きい金額の赤字が予想されることにもなります。歳入の面での着陸料が増える見込みが少ないとなると、厳しい経営状況をどうやって乗り切っていくのか、私どもも、しっかり注視していきたいと思います。  次に、富山空港ターミナルビル株式会社の収支状況ですが、平成20年7,300万円の黒字、21年7,000万円の黒字、平成22年8,500万円の黒字と順調に利益を上げておられるわけです。また、長期借入金の返済も、ここ一、二年は毎年度二億七、八千万円ペースで減っているということは、返済に努めていることになるのだろうと思います。  私どもが貸借対照表で見ると、総資産の部で資本金はどうかとなりますが、資本金が10億円ですから、この資本合計17億2,000万円ということは約1.7倍となりますので、非常に優良企業だと思っております。内部留保もある程度着実にあるということですが、この長期借入金の返済が非常に大きい金額で、市中銀行への返済と聞いておりますが、この長期借入金の状況とその返済計画について伺いたいと思います。 152 吉田知事政策局長 まず、富山空港ターミナルビル株式会社の経営状況を御説明した後、長期借入金の状況について御説明したいと思います。  富山空港ターミナルビル株式会社の経営状況につきましては、収入の主なものは、待合室や検査室等の施設貸付料などの不動産管理事業収入、また売店等の売上収入などであり、平成22年度では合計約12億8,900万円の収入がございました。一方で支出といたしましては、商品の売上原価や人件費、減価償却費などの営業費用や法人税等の公租公課などがあり、平成22年度につきましては合計約12億400万円の支出がございました。この結果、8,500万円程度の黒字(当期純利益)となっているところでございます。  近年の経営状況でございますが、委員からも御紹介いただきましたけれども、平成18年度は約500万円の黒字、19年度から22年度においては毎年6,000万円から8,500万円程度の黒字となっておりまして、現在のところ黒字基調で推移しているところでございます。  ターミナルビルの建設時の長期借入資金でございますけれども、現時点で有利子のもの──銀行から借り入れているものでございますが、これが約10億4,000万円ございます。また、無利子のもの──県から貸し付けているものでございますが、これは約12億1,500万円ございます。  このうち有利子分につきましては、ただいま申し上げましたとおり、黒字を毎年計上する中で毎年度2億8,000万円前後を返済いたしておりまして、このペースでまいりますと平成26年度末には完済する予定となっております。  残るのは、県から貸し付けを行っております無利子分でございますけれども、これにつきましては、まず、この有利子分の返済が完了した以降、ターミナルビルの経営状況等を勘案しまして、返済方法について検討してまいりたいと考えております。 153 高平委員 大変に順調な立派な会社です。  そこで、この前、男性研修生と見られる中国人が行方不明という問題がありまして、知事政策局長の一般質問の答弁では、富山空港保安委員会あるいは理事会等で対応して、しっかり取り組んでいきたいということでしたけれども、この質問の前に、私がいただいた資料では、この富山空港保安委員会は、関税から保安関係すべてで35人もおられるのです。年間に何回ぐらい35人で会議をしているものですか、聞かせてください。 154 吉田知事政策局長 富山空港保安委員会でございますけれども、これにつきましては、総会としまして年2回──基本的には9月と3月でございますけれども、開いているところでございます。  また、その中から理事が選ばれておりまして、理事会も開かれております。こちらの人数はもっと少なくて12名でございますけれども、こちらは必要があるときに随時開催しているものでございます。 155 高平委員 ありがとうございます。  そこで、この前の答弁では、たしか保安委員会理事会で対応ということだったと思うのですが、ターミナルビルも順調にもうかっているのですから、問題のあるところはさっさと直しておけばどうですか。保安委員会で、何かこういうところをきちんとしておきたいとか……。これはあまり細かく言うと泥棒に教えるようなものですからいいです。こういうことのないように、再発防止に向けてしっかり取り組んでほしいと思いますが、このことについてお答えいただきたいと思います。 156 吉田知事政策局長 この事案につきましては、3月5日午後4時40分ごろ、北京・大連便に搭乗する予定の中国人男性1名が、出国手続後に搭乗橋から脱出し、制限区域内に入った後、空港外に出ていったものと見られる事案が発生したものでございます。  これを受けまして県とターミナルビルでは、翌日6日に、国際線搭乗橋のすべての窓につきまして、人が出入りできないような構造に改修を行いました。具体的に申し上げますと、内側から90度開閉できるような構造でありましたけれども、これを10センチメートル程度しか開かないような構造に改めたところでございます。  同じく3月6日でございますけれども、臨時の富山空港保安委員会の理事会を開催いたしまして、本事案について関係者に報告し周知するとともに、安全管理と情報共有の迅速化について徹底を図りました。  さらに2日後の3月8日には、先ほど申し上げました年2回開催されます富山空港保安委員会の総会が、もともと予定されておりましたので、その総会におきましても、改めまして連絡体制の整備、それから各事業所における警備体制の強化について依頼を行ったところでございます。  今回の事案が発生したことは、空港管理者としてまことに遺憾なことでありまして、搭乗橋の窓につきましては、今ほど申し上げましたとおり、まず暫定的な措置といたしまして、90度開いていたものを10センチメートル程度しか開かない構造に改修したところでございますが、今後さらに本格的な再改修を実施したいと考えております。  また、今ほど申し上げました、定期的に開催しております保安委員会や各種訓練等を通じまして、今後とも保安体制の強化に努めてまいりたいと考えております。 157 高平委員 国を出てしまってからいなくなるというのは、どういうことなのかなと考えます。時間もなくなりましたので、これはまた別の機会に聞きます。  新幹線の開業による影響については、たくさんの先生方が質問しておられますので、また別の機会にさせていただくことにいたします。最近、この空港管理に伴う新しい動きが幾つか出ております。そのことについて何点かお伺いしたいと思います。  国が管理する27空港について、滑走路や空港ビルなどの運営を一体化して民間委託できるようにし、経営の合理化と国の財政負担の軽減につなげることをねらいとする民活空港運営法案が、3月6日に閣議決定されました。  これは、あくまで国の動きということですが、ある意味では、赤字を出している空港が多い中で、地方空港も同様だろうと思います。空の指定管理者制度というと若干抵抗を感じますが、地方空港への影響はどのようになるのか伺いたいと思います。 158 吉田知事政策局長 本年3月6日に、国が管理する空港の運営を民間企業に委託することができる、いわゆる民活空港運営法案が閣議決定されました。この法案では、国の管理する空港につきましてPFI法の公共施設等運営権制度を活用し、国管理空港の運営の民間委託を推進することとしております。このことにより、就航路線や便数の拡大、利用者の増大、宿泊や物販等の拡大を通じた地域経済の活性化、雇用の拡大などを目指すとされております。  地方管理空港につきましても、地方公共団体の判断により、国管理空港と同様に、その運営を民間企業に委託することができるとされているものでございます。  国におきましては、法律が成立しましたら、まず、民間の能力を活用した国管理空港等の運営等に関する基本方針を策定し、その後、民間事業者、地方自治体等の幅広い関係者から国管理空港の運営の民間委託に関する具体的な提案を募集し、さらに平成25年度になりますけれども、個別空港ごとの運営の民間委託手法の具体的検討を行った上で、平成26年度を目途に国管理空港の運営の民間委託を開始するというスケジュールで、今後進めるということでございます。  地方管理空港への影響でございますが、現段階では、国の基本方針が示されていないこともありまして、判断できる段階ではございません。けれども、富山空港につきましては、平成26年度末に新幹線開業がございますことから、これによる需要への影響をどう見きわめるかといった課題もございますので、今後、国の動向を十分に見きわめながら情報収集に努めてまいりたいと考えております。 159 高平委員 次に、笠井委員も冒頭に質問をしておられましたが、格安航空会社(LCC)についてです。  ピーチ・アビエーションでしたか、いい名前だなと思いますが、また、日本航空系のジェットスター・ジャパン、そして全日空系のエアアジア・ジャパンが、成田空港や関西空港を拠点に、今、このLCCが大きく動き出そうとしております。  安全がきちんと担保されればという前提ですが、安いことは、利用者の立場からはいいものだと思いますけれども、どのように評価しているのか伺いたいと思います。 160 吉田知事政策局長 格安航空会社(LCC)は、一般的に中短距離を中心に多頻度で運航するとともに、使用機材の統一や付加サービスの有料選択化などの低コスト運航を行うことにより、サービス面では多くの制約がありますものの、低価格運賃を提供する航空会社であると言われております。  近年では、アジア各地域の格安航空会社が、関西国際空港や成田空港等に国際定期便として乗り入れているほか、国内の大手航空会社が資本参加する格安航空会社につきましても、今、御紹介にありましたピーチ・アビエーションの1社が本年3月から運航を開始いたしまして、さらに、ジェットスター・ジャパンとエアアジア・ジャパンの2社が、ことしの夏ごろから運航を開始する予定と聞いております。  このLCCにつきましては、これまで欧米やアジア等において、低価格運賃の設定を通じまして新たな需要層を創出してきたところであります。一方で、主に旅客の需要の多い路線におきましては、過当競争による既存路線への影響が生ずることも懸念されているところでございます。  こうしたことから、県といたしましては、このLCCが新規の需要を創出する可能性に注目いたしまして、情報収集に努めるとともに、富山空港の路線の新設に向けましては、LCCの課題も踏まえつつLCCも含めた内外の航空会社に対しまして、引き続き富山空港の利便性をPRして働きかけてまいりたいと考えております。 161 高平委員 私は最初に言いましたが、やはり福岡便がなくなり、かつてあったいろいろな便がなくなっているということで、何とかこういうLCCなどを活用して福岡便などができないかという思いがありますので、ぜひ前向きに検討していただきたいと思います。お願いしておきます。  次に、空港の愛称についてですが、愛称を持つ空港が20、検討中が2つということで、愛称を持つ空港がたくさんあるのです。例えば代表的なもので言うと、米子空港が米子鬼太郎空港、高知空港が高知龍馬空港、ほかに、対馬やまねこ空港、あきた北空港なんていい名前だと思いますし、たんちょう釧路空港などがあります。  空港の名称と位置は、基本的には空港法あるいは同施行令で規定されているということですが、愛称は構わないのだろうと思います。やはり、おらが空港、地元の空港に対する愛着感が出てくるのではないかという思いがあります。  越中富山空港では誤解されるおそれもあるので、例えば、おわら富山空港など、いろいろな愛称があっていいと思います。本県でもぜひ前向きに取り組んでいただきたいのですが、石井知事の所見を伺いたいと思います。 162 石井知事 空港の愛称は、お話のように、身近で親しみが持てるとか、また知名度アップになるとか、利用促進を図るというような効果が考えられます。これまでの例を見ますと、空港施設を大幅に拡張するとか、新規につくるとか、何かそういう機会に愛称を決めているケースが多いようであります。  今も、お話が幾つかありましたが、例えば、高知空港は高知龍馬空港、米子空港は米子鬼太郎空港、出雲空港だと出雲縁結び空港とか、そんなふうにつけておられます。ただ、米子空港はたしかソウル便があるようですけれども、これらの空港は、割合国内便だけのところが多いように思います。  富山空港は今、羽田便、札幌便のほかに、御承知のとおり台北便も入れますとアジアの5都市との間で就航することになっていますので、富山空港という名称は、国内だけではなくて国際的にも利用者に定着しており、シンプルでわかりやすいという見方もあります。  ただ、たしか委員はいつぞや、北京空港でトヤマと書いてあったように見えてうれしかったが、よく見たらタヤマだったというお話もあるので、いずれにしても正式名称は富山空港ですから、これを維持しながら、また別の話として愛称をつけるという方法も確かにあると思います。どういう愛称が考えられるのか。もちろん、富山のよさや魅力が十分アピールできるような名前があればいいのではないかという気もしますので、今後、いろいろな方の御意見も聞いて検討してみたいと思います。  平成25年度は、ちょうど富山空港が開港して50周年、それからジェット化して30周年、それから実は富山県置県130周年という節目になるのです。こういう年でもありますので、何かそういう事業の一環として考えられないか、委員の御提案を生かせないかも含めて検討させていただきたいと思います。
    163 高平委員 ありがとうございます。  これは愛称ばかりではなくて、羽田空港は通称で、東京国際空港が正式名称です。伊丹空港も大阪国際空港ということです。通称、愛称、いろいろあるということで、今回いい勉強をさせていただきました。  そこで、先ほどあえて新幹線の質問はしなかったのですが、新幹線が来たら空港はなくなるだろうとか、いろいろな意見を言われる方もおられます。しかし、例えば、富山県から九州ですとか、私どもも委員会で行くときの乗り継ぎ割引制度ですが、この予算を見ても、知事、少ないです。台湾で1,500万円と言っておられますが、乗り継ぎ便促進事業は498万円です。やはり1,000万円かもう少し見ていただきたい。  今いる富山県民に、やっぱり富山空港があると便利だな、と感じさせなければだめなのです。私は、富山県の人が飛行機で行くときに、乗り継ぎ割引もあって非常にいいなと、もっと思われるようなことをきちんと続けていくことが、新幹線が来たときに空港をどうするかということの大きなエネルギーになると思っております。  少し言葉が汚く、きちんとしゃべれませんでしたけれども、私は、空港の機能強化というか基盤の整備も、やはり少しずつでもいいからやっていってほしいと思います。そのことの積み重ねが、いつか必ず……。GPSを使って、少しぐらい雪が降っても何の心配もなくおりてこられるようになるかもしれない。そんなことを県民の皆さんに伝えたい。何もしていないのではないか、ということではいけません。  今定例会での知事の答弁を聞いていたら、陸海空と何度も出てきました。出てくるのはいいけれど、空港という大事な基盤があまりにも……。もう少し取り組んでいただき、玄関口の空港をきちっとしたいのです。こんなことをもろもろあわせて、どのように取り組んでいくのか、最後に知事にお伺いしたいと思います。 164 石井知事 委員からの大変に貴重な御提言、いろいろありがとうございました。  お話に出ましたように、先行している県の空港を見ますと、新幹線の開業により羽田便は、100%と言ってもよいかと思うのですが廃止されているのです。富山・羽田便も、ある程度減るのはやむを得ないのですが、何とか存続できないかということで、かねて全日空とも相談をして、東京経由の乗り継ぎ割引制度をつくってもらって、今、全国30地域に行けるようになっております。  今、予算が少ないのではないかというお話がありましたが、もっと県民に定着し、また、よそから来る方にも、富山県に来るときに、そういう来県の方法もあるということが定着しますように、予算面も含めて努力していきたいと思います。  それから国際線は、今ほどもお話がありましたが、地方の54の空港の中で、現在でも全国トップの4都市への国際定期便ということですし、まして4月からは台北便ができると5都市となって、地方が管理している空港としては断トツの存在になりますので、経済、観光、文化、いろいろな面で双方向の利用を促進して、国際チャーター便や国際定期便の拡充に努めていきたいと思います。  先ほどLCCの話も出ましたけれども、知事政策局長からも答弁しましたとおり、これにはどういう可能性があるのかということで、アンテナも高くして、いろいろなネットワークで探っております。今のところLCCの会社も、まずは旅行需要の多い、例えば成田空港や関西空港といったところで就航しております。もちろんチケットが安いからすごくいいですが、一方で、欠航や遅延があった場合の航空会社のフォローがほとんどないとか、それから航空会社の販売は、やはりコスト削減だからでしょうが、ネット販売だけとか、そういういろいろな課題もございます。  ですから、もう少しお時間をいただきたい。ただ、現にせっかくオーソドックスな航空会社が来てくれているわけですから、それが廃止になっても困るし、その辺はよく見きわめながら対処していきたいと思います。  また、せっかく陸海空と言っているのに、少し空港の整備が寂しいというお話がありました。例えば港湾だと、たとえ12メートルの暫定水深にしても、せいぜい数億円とか数十億円で何とかなるのですが、先ほど言いましたように、例えば道路のつけかえとなりますと、それだけで数百億円になるものですから、なかなか持ち上がらない。  お話のように、特に3年後に新幹線が来ますから、この富山空港の機能を何とかそれまでに、まず国際線は何としても強化しなければいけませんし、羽田便も、今、言われた乗り継ぎ割引制度も含めていろいろな工夫をして、何とか少しでも残るようにする。羽田便を今まで以上にというのは難しいかもしれませんが、努力をしていきたいと思います。 165 大野委員長 高平委員の質疑は以上をもって終わりました。  以上をもって本日の日程は終了いたしました。  なお、3月16日の予算特別委員会は午前10時から開会いたしますので、定刻までに御参集願います。  本日はこれをもって散会いたします。                     午後4時14分散会 Copyright © Toyama Prefecture, All rights reserved. ↑ ページの先頭へ...